指定暴力団「山口組」が事実上分裂してから10日。
「血で血を洗う抗争」を懸念する一部メディア報道とは裏腹に、今のところ目立った“バトル”は起きていないが、日本最大のヤクザ組織の分裂騒動は、首都・東京の「夜の繁華街」にも確実に波紋を広げている。
「“6代目”に反旗を翻した山健組の井上邦雄組長は、東京に本部を持つ住吉会の最高幹部と『兄弟盃』を交わす親密な仲を指摘されています。今回の分裂をメディアが一斉に報じた直後、井上組長が上京し、この最高幹部と密会したとの真偽不明の情報が駆け巡った。住吉会は傘下団体に『山口組本家(=弘道会)と付き合う』との通達を出していただけに、『あの最高幹部は山健組につくのか』と、さらなる臆測を呼び、『すわ、住吉会も分裂』『山健組に合流か』と警察当局にも動揺が広がる事態となったのです」(捜査事情通)
実際には、渦中の最高幹部は山口組分裂に“静観の構え”のようだが、今なお山健組との連携説はくすぶっている。最高幹部が仕切る組の縄張りは池袋を中心に新宿、高田馬場、神楽坂、中野など広範囲に及び、各エリアの繁華街には一時、張りつめた空気が漂っていた。
「『歌舞伎町で抗争が起こる』というウワサも、このあたりから流れたんと違うか。けど、考えてみい。仮に住吉会の最高幹部が井上組長とくっついたとすれば、ただでさえ、でかい『シマ』(縄張り)を持つ組織のバックに、組員2000人に上る山健組が付いたということ。誰もウカツには手を出せない。連携の真偽を問わず、抑止力はいっそう増したと考えるべきで、つまり池袋から新宿一帯の治安は逆に“良くなった”と言えるんじゃないか」(関係者)
むしろ不安なのは、「銀座や六本木、赤坂のようにシマが地域単位でなく、店ごとに細分化し、複雑に入り組んでいる繁華街だろう」(前出の関係者)と指摘する。
中でも危ないのは、西麻布界隈も含めた六本木エリアだという。
「あの一帯は住吉会の最高幹部の組織をはじめ、弘道会や山健組、さらに11年に山口組の2次団体に昇格した『落合金町連合』など、さまざまな組織がひしめいています。実際、落合金町連合の昇格直後には六本木のキャバクラで、住吉会が“半グレ”集団を動員し、落合金町連合の幹部を襲撃する事件が起きています。いつ、どこで、いかなるトラブルが発生しても、おかしくない」(捜査事情通)