イラクやシリアなどから大量の移民や難民が欧州に押し寄せる中、西欧諸国へ向かう経由地となっているハンガリーでは足止めされた移民・難民と地元当局とのトラブルが絶えない。7日には数日にわたって移動を阻止された人々がいらだちを募らせ、警官隊ともみ合いを演じる場面も見られた。一方、北欧のデンマークは移民の流入制限を強化する動きに出ている。
ハンガリーとセルビアの国境に広がる草地では、オーストリアやドイツへの入国を目指す大勢の移民・難民がテントを張って寝泊まりし、ハンガリー国内の一時収容施設へ向かうバスの到着を待っている。施設にたどり着けば難民申請をして移動を続けることができるが、バスが輸送できる人数はわずかだ。地元の非営利団体が食料配布などの支援を行っているが、ごみの散らばる待機場所にとどめ置かれる人々の間では不満の声が高まっている。
一方で移民・難民の多くが目的地とするオーストリアも、移民受け入れペースの縮小を余儀なくされているのが実情だ。オーストリア警察が7日に発表したところによると、5日以降同国に入国した移民は1万6000人を超える。ファイマン首相は移民の受け入れについて「今後はこれまでの緊急的な措置から通常の法に準拠したやり方へと少しずつ転換していく必要がある」との認識を示した。
またデンマーク政府は新聞にアラビア語の広告を掲載し、社会保障サービスの縮小といった制限を新たに導入する方針を表明した。国内への難民の流入に歯止めをかける狙いがあるとみられる。