■田舎に移住する前に、住まいはどうやって見つける?
移住するならまず家が必要です。とりあえずインターネットで探そう、ということになると思いますが、田舎では地元に人間といかに良好な関係を作るかどうかで、暮らしの楽しさが圧倒的に変わってきます。だから、ネットで物件を探してそのまま契約する形だと、その後なかなかうまくいきません。またネットでいい物件が見つからないところでも地元に行けば古い空き家がゴロゴロありますし、交渉次第で貸してもらえることもあります。
具体的には、移住者の多い地域では、先輩移住者が経営するカフェや宿などがあることが多いので、そういうところを訪ねて相談してみるのがいいと思います(ただし、その移住者が地元で浮いている可能性があったり、移住者同士の派閥争いのようなものもあるので、そのあたりを見極める必要があります。
たった一人の先輩移住者だけに頼るのやめておいたほうがいいでしょう)。先輩移住者が見つからないなら役所を窓口にするのもいいでしょう。そこから地元の方を紹介してもらい、地元の人に頼りつつ、人を紹介してもらって居住地を決めていきます。
家はすぐに決めず、さまざまな人に会いながら、時間をかけて決めていくほうがいいと思います。その作業自体が地域に顔を広めることになり、地域の人達の人間関係を把握することができますし、また地域で信頼され、かつ自身と相性の良い、その後の生活の「鍵となる人物」を見つけることにもつながります。引っ越す頃には周囲が皆、自分のことを知っているという状況を作ってから移住するのが理想的です。
■とにかく「移住先の人間関係」が大事!
最近は地方再生やソーシャルデザインの本も多数出ていますが、それらを読んで感化され、「オレが寂れた商店街を再生してやる」みたいなことは、少なくとも移住当初は考えないほうがいいでしょう。
都会から来た怪しげな「自称アドバイザー」に好き勝手に言われて不快な思いをしたことのある地方の商工会も結構あるでしょうし、地元で何十年にもわたって様々な試行錯誤を繰り返しつつ頑張っている地域もあります。何かを提案するならまずに地元で何が行われてきたかを時間をかけて知り、人間関係をしっかり作る必要があります。
また、都会で身につけた高度のスキルをすぐに田舎で活かせると考えるのは早計です。大手企業のサイトなどを構築していたウェブデザイナーがIターンし、地元の観光協会のコンペで、洗練され、またユーザビリティに優れたウェブサイトを提案しましたが、不採用。結局、協会の会長の親戚が作ったという、都会の感覚だと「えっ」と驚いちゃうような、野暮ったく、しかも重たいデザインが採用されたという話を聞いたことがありますし、それ以前の問題として、高学歴であったため地元の会社の採用の対象外になってしまった人も知っています。
日常生活についてですが、文化の違いは十分に理解する必要があります。ちょうど斎藤環著『世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析』が文庫化されましたので、読んでみて「ヤンキーの美意識」について考えてみるのもいいかもしれません。「ちょっと無理」と思ったら都会暮らしを続けたほうがいいでしょう。あなた自身はともかく、子どもは学校でここに書かれているような価値観の中で育ちますので。ウチの子もちょうど今、小学校の授業で三代目 J Soul Brothersの振り付けを習っているところです。