米国の銃の消音装置メーカー「SilencerCo」は19日までに、銃本体に消音機能を内蔵した新型の短銃を開発したと発表した。従来の消音装置の大半は銃身の先に外部で装着するデザインとなっている。
米ユタ州に本拠がある同社によると、この短銃は9ミリ口径の「マクシム9」で15連発が可能。
全米ライフル協会(NRA)によると、消音装置が内蔵式の短銃は初めてでなく、米中央情報局(CIA)の前身組織「戦略事務局(OSS)」が第2次世界大戦中、英国製のモデルを使用した例もある。現在は、スターム・ルガー社が護身用の22口径型などを生産している。
しかし、SilencerCo社のジョシュア・ウォルドロン最高経営責任者(CEO)は、マクシム9はデザインの効率性などでより優れ、性能もより強力と主張。従来モデルと比べ、銃の命中率や信頼性なども高いとしている。販売開始は来年の予定。
米国内で消音装置を入手する場合、厳しい規制の通過が必要だが、売り上げは最近伸びている。アルコール・たばこ・銃器取締局(ATF)の最新統計によると、消音装置の登録件数は今年2月、前年同月比で38%増の79万2282件を記録。同CEOは、猟師などに人気があると指摘した。
消音装置の購入は大半の銃より長い手続き期間が必要で、数カ月要する。銃の場合は通常、数分で終わる。
消音装置の入手の希望者は郵便やファクスで写真や指紋をATFに送付し、200ドル(約2万4000円)の関連税金を納めることが求められる。承認を得るまで最大9カ月かかる可能性もある。また、消音措置そのものを禁じている州もある。認められているのは現在41州だが、4年前の37州からは増えている。
ウォルドロンCEOは、消音装置の人気の高まりや規制緩和の州が増大している背景には、消音装置の適法性を訴える関連業界のキャンペーンが奏功したとも分析。販売増加で、SilencerCo社は従業員数を過去1年で倍以上の計230人に拡大したという。