女優の川島なお美さんが胆管がんのため54歳で亡くなった。2013年夏に腫瘍が見つかり、2014年1月には約12時間にわたる腹腔鏡手術を受けていたが、2015年9月24日夜、都内の病院で息を引き取った。
川島さんは手術後、抗がん剤や放射線による治療を一切受けず、「民間療法」を取り入れていたという。
ブログで「素晴らしい民間療法との出会いもありました」
「邪気を取り払ったり、身体を温めたりしています。病院に行くのは定期健診の時だけ」――。川島さんは激やせぶりが注目された9月7日のイベント時、現在の治療についてこう語っていた。
川島さんが自身の民間療法について初めて触れたのは、手術が週刊誌の報道によって公になった2014年3月のことだった。手術に至るまでの詳しい経緯を明かしたブログの中で「素晴らしい民間療法との出会いもありました」と綴っていた。
2014年7月のブログでは、現在継続している健康法として(1)ビタミンC濃縮点滴などによる「免疫力アップ」(2)「電磁波により邪気をとりのぞくこと」(3)発酵玄米や豆乳ヨーグルトといった「バランスのよい食事」の3つを紹介していた。
川島さんが亡くなった翌25日、複数メディアが民間療法を選んだ事実を報じると、インターネット上には驚きの声が相次いだ。同時にネガティブな意見もいくつも上がった。
「人の生き様に口は出せないが、標準治療を受けていれば......」
「『民間療法』とやらが要らん事を吹き込んだ結果のような気もするなぁ」
「民間療法ってのが胡散臭い!」
「民間療法で治るなら医者は要らんよなあ」
民間療法の一つはホメオパシーだったのではないかとの情報も批判的な意見に拍車をかけているようだ。15年1月に亡くした愛犬について「ホメオパシーの先生のもと食事療法や自然薬で苦しむことなく天に召されていきました」などとブログに書いていたためとみられるが、本人が実践しているという証拠は見当たらない。
2013年夏に「余命1年」宣告されていた
川島さんはなぜ、抗がん剤治療や放射線治療に頼らずに民間療法を選択したのか。スポニチアネックスの記事(9月25日配信)によれば、生前には周囲に「抗がん剤の副作用でステージに立てなくなる可能性があるなら、私は最後まで女優として舞台に立ち続けたい」と漏らしていたという。
同じ所属事務所で長年親交があったタレントの山田邦子さん(55)は25日放送の「白熱ライブ ビビット」(TBS系)の中で、13年7月の段階で川島さんが「余命1年」を宣告されていたことを明かした。
川島さんが患った肝内胆管がんは、もともと術後5年生存率が30~50%とされている難病だ。抗がん剤や放射線治療の効果が出にくいとも言われている。民間療法の効果について、川島さんがどこまで期待していたかは分からないが、抗がん剤治療等で「延命」を試みるのではなく、民間療法と付き合いながら、余命1年と宣告された人生を女優として全うする覚悟を決めていたのだろう。
そのためインターネット上では、
「『西洋医学は信頼できない。民間医療の方が効果がある!』ならアカンと思うけど『抗癌剤治療はステージに立てなくなる可能性があるからやらない』なら本人のQOL(編注:クオリティオブライフ)についての判断として尊重すべきだと思う」
「ご本人の病状(進行の度合)と医学的に取り得た手立て、それがQoLへ及ぼし得る影響、医師の説明の仕方、『民間療法』の内容と出会い方、などについて具体的な情報を持たない我々が、不用意にものを言うべきではない」
「胆管がんは生存率がとても低いそうだし、やることやったけどこれ以上は難しいっていうんでQOLを高める方向に舵を切ったんだと思う。あんなガリガリで辛くないわけがないのに立派だよ」
などと批判的な意見に対する反論も数多く投稿されている。