日中関係が長らく冷え込んでいる原因に、相互理解の不足を挙げる声も少なくない。浙江農林大学の施娜娜さんは、真実を伝えていくことで誤解が解けると考えている。
日本語を勉強する前は、日本については戦争の印象しかなかった。大学に入るまで日本の良い面は全然聞かなかった。現在、日本人と交流して、日本への態度もすっかり変わった。
日本人の先生が授業で、日本で製作された西遊記のドラマを上映してくださった。先生が「どう思いますか」と聞いた時、クラスメートの李さんは「日本人はわざわざ中国の印象を破壊するために、このようなドラマを作ったのか」というような感想を話した。その後、先生はとても真剣に説明してくださった。三蔵法師は女性が演じて、孫悟空と男女を意識したような感じを出すなんて、私たちにとっては全然受け入れられない。だから先生がこれを見せた時、私はちょっと驚いた。なぜそんなものを見せたのだろうか。
その西遊記は1978年に中日平和友好条約の締結を記念して作られたそうだ。このドラマは日本で大ヒットした。私たちが中国の西遊記が好きなのと同じく、日本の西遊記もその時代の子どもたちにとっては忘れ難い思い出になった。では、どうして原作をもとにして作らないのだろうか。先生の話を聞いて私の疑問は解けた。
日本人はアレンジが好きで、勉強したものをそのまま受け入れるだけでなく、ちょっと自分の特色を入れるのが一番いいという考えが一般的だ。それに日本人は中国の古典文学に詳しい。このドラマが出る前から、人々は西遊記の内容を本やアニメなどで知っていた。もし、原作のまま作ったら創意がないと言われたかもしれない。このドラマがあまりに人気が出たので、その後もこのドラマをまねて、何本も日本版西遊記が製作されたそうだ。でも、私が一番驚いたのは、私たちがずっと誇りに思ってきた中国の西遊記のドラマ(1986年版)が、まさにその日本の西遊記の一部を参考にして作られたということだ。先生からそのことを教わった後、私は何かがわかったような気がした。
私たちは日本人と考え方が違うので、この西遊記の一件のような誤解をよくしてしまう。もし日本語を勉強しなかったら、この誤解を抱えて一生を過ごしたかもしれない。以前、私は多くの日本人は、中国で日本人が殺りくを行ったことを認めていないと思っていたが、先生から、南京へ行って謝罪する日本人もいることを聞いた。しかし、マスコミはこういうことを全然報道してくれない。それに、戦後日本は罪を償うために、何年間も中国に無償援助したことも教科書の中で全然記載されていない。もちろん、日本の方もわざわざ中国の悪い面を拡大して報道することがある。
それらのことは全部大学に入ってから、日本語科の先生から教えていただいた。本当に残念な気がする。政府の政策は社会全体に大きな影響を与える。政府には政府なりの考えがあるだろうが、両国の友好のためにずっと頑張っている人の努力を無駄にしたくはない。私は自分の見たこと、感じたことをこれからも周りの人に伝えていきたい。