民宿への宿泊を希望し、東京旅行を計画した台湾人女性が、貴重な経験をしたとブログに書きつづった。古風な宿で生活し昔ながらの銭湯に出かけたことが、忘れられない思い出になっているそうだ。過去の東京旅行ではビジネスホテルに泊まり、「居心地が最高だとは言えないが、部屋はキレイで料金も手ごろだった」と、まずまずだった事を思い出したのはLittleRunPy(ハンドルネーム)さん。
何の問題も無かったが、日本の生活を経験し人々と触れ合うには「もっと日本らしい家に泊まるべきだ」と考え、宿泊情報サイトで見つけた古民家が気になったという。「マナミさんという女性が経営する民宿で、歴史のある日本の古民家」とのこと。ウェブ上で予約をし、早速東京に飛んだそうだ。
東京都中央区月島にあり、親切な30代女性のマナミさんがもてなすこの宿は、教科書に出てくるような昔風の言葉を使うなど、明るくて庶民的な雰囲気だったという。住宅街の中に建ちながら築地や銀座に近い環境は、筆者にとって魅力があったそうだ。そして民宿は2階建てで、「経営者は1階に住み、2階の和室2部屋を使わせてくれました。タンス、給水器、茶卓などあり設備は揃っていた」とのこと。
だが「1階にあるトイレは経営者との共用で、お風呂は近くの銭湯に行かなければならない」と特徴を述べた。その銭湯こそが、筆者の求める日本らしい生活環境だ。映画『テルマエ・ロマエ』を見て日本のお風呂文化に興味を抱いていたそうで、「銭湯に行けるなんて素晴らしい!」と興奮したそうだ。
洗面器とタオルなどを持ち実際に銭湯に入場した筆者は、日本の伝統を感じる場所に踏み込み緊張したというが、受付に座っているのがおじさんで、更衣室の様子を見られてしまうと恥ずかしさを覚えた。結局は数日通うことでおじさんの存在を意識しなくなったというが、「郷に入れば郷に従え」をモットーに近くにいる日本人を真似ながら、洗面器の使い方や浴場に入るタイミングなどを、学んだそうだ。
だが浴場に足を入れるとものすごく熱く、思わず声を出してしまったという。なぜ熱湯に体を預けるのかと理解できなかった筆者だが、「せっかく銭湯に来たので、入らないともったいない」と、少しずつ足を入れ始めたが一気に入るようにアドバイスされたそうだ。従った筆者だったが、体が煮えたぎったように赤くなり「あの熱さは永遠に忘れない。1分も経たない内にすぐに浴場から出た」と報告した。
だが筆者は「初日は恐ろしい経験だと思ったその熱湯に、翌日にはすっかり慣れ、3日目には入るのが楽しみ」になり、人間は環境に慣れる生き物であることを幸いに感じたとのこと。観光で歩き回った足や腰の痛みが、銭湯に行ってお湯につかるだけで回復し「奇妙に思えた」ほど効果を感じ、感動したそうだ。
ほかにも「壁の富士山の絵が日本を感じさせた」、お湯から出て更衣室では「体重を量り飲み物を飲んで、休憩する日本の銭湯スタイルを体験した」など、日本のお風呂文化を楽しんだようだ。また銭湯で会った、日本のおばさん達との交流も忘れられないとのこと。「私は日本語が全く話せないが、台湾が好きだと言う人が一生懸命話しかけてくれた」と、ジェスチャーや想像を交えながら触れ合ったそうだ。
民宿の経営者とも同様に、ジェスチャーや筆談、またインターネット上の翻訳機能を使って会話や交流をしたという。筆者はこの経営者にお世話になったと感謝の気持ちを伝え、「古い日本家屋での生活、そして伝統的な銭湯を体験することができました。そして日本人とたくさん接触し、生活を知ることもできました」とつづった。
そして「相手が誰なのかも知らず言葉も通じなくても、みんな親切におしゃべりしてくれます。本当に特別な体験でした」と、締めくくった。筆者いわく、「日本人は純朴で可愛い」とのこと。銭湯で一緒にお湯につかる裸の付き合いを通して、お互いの心が開いたのだろう。日本の文化を体験したいと希望する外国人に、銭湯行きを勧めてみるのも良さそうだ。