一糸まとわぬ姿で堂々と闊歩する女と男。健康ランドの浴場のような光景が、習近平国家主席率いる中国で頻繁に起きている。男にフラれた腹いせで全裸になったうら若き女性に、なぜか下半身丸出しの男性。それぞれ何らかの事情はあるのだろうが、かの国特有の習慣も関係しているという。世界を唖然とさせるチン現象。中国事情に詳しいジャーナリストの奥窪優木氏が、脱ぎたがる中国人の謎をリポートする。
最近、中国で珍妙な現象が起きている。公衆の面前で、男女が前触れなく裸になる事例が全国各地で続出しているのだ。
先月18日、江蘇省南京市の中心部で、若い女性が突然身に着けていたものを次々と脱ぎはじめ、一糸まとわぬ姿になる事件が起きた。恋人の男性と口論となり、激高した末の行動だったという。
その4日ほど前には、貴州省を走る高速道路上で、全裸で闊歩する女性の姿が目撃されている。彼女は通報を受けて駆けつけた警察の説得を無視し、2キロにわたって歩き続けた後、高速道路を降りて立ち去った。
8月には江蘇省無錫市で白昼、市街地を全裸で疾走する女性が目撃され、その様子をとらえた写真がインターネット上で話題になった。安徽省合肥市の鉄道駅や広州市の路上でも女性による公然露出の事例が相次いでいる。
男性も負けてはいない。先月、山東省済南市のバスターミナルで、下半身を裸で悠然と歩く男性が目撃され、7月には江西省の高速道路上で雨の中、全裸で体育座りをし続けた中年男性が警察に連行された。
これらの事件の多くは、当人が心神喪失状態にあったとして報道されているが、中国人はもともと「脱ぎたがり」な一面がある。
昔から夏には上半身裸で外出する男性が少なくない。これは性的な意味ではなく、「暑いから脱ぐ」という中国的自由を謳歌している。こうした風潮が、昨今の性の解放や羞恥心の低下で女性にも広がり、露出度が高まったことも、公然露出頻発の原因の1つと言えるかもしれない。「中国で売られている安い化繊の服は通気性が悪く、興奮して体温が高くなると暑くて脱ぎ捨てたくなる気持ちも分かる」(広東省在住の日本人男性)という声もある。
過去には、裸で過ごすことを愛する人々により、海南島(海南省)にヌーディストビーチをつくろうという動きもあった。その計画は、地元当局によって阻まれたが、最近は海外のヌーディストビーチに中国人旅行者が出現しているという。子供の頃には開襠褌(股割れパンツ)を穿きこなし、人前で排泄させられていた彼らは、「裸を見られることへの抵抗感が比較的小さい」(現地関係者)との指摘もある。
そればかりか、最近では「見せたがり」の中国人も増えている。
ネット上には、被写体自らがアップしたハメ撮り動画があふれている。中国では成人動画は、見るだけのものから、自ら出演し、撮影するものに変わりつつあると言っても過言ではない。
北京在住の日本人駐在員によると、若い女性の間では、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を介して友達同士でセルフヌードを見せ合うことも流行している。
各地のモーターショーでは、女性コンパニオンの過度な露出を規制した当局だが、人民に広がる神出鬼没の露出行為には、いまのところ有効な手を打てていない。