国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」は25日、シリア西部で最近、ロシア軍の空爆により民間人数十人が死亡したとの見方を示した。一方、ロシアは、シリア国内の軍事作戦で民間人を標的にしたことはないとして、こうした見方を強く否定している。
HRWの声明によると、シリアのホムス県北部で今月15日、ロシア、シリア両軍機がシリア軍地上部隊の支援を目的とする空爆を実施した。
ある村では民家が空爆を受け、救急隊員や地元活動家によると住人の一族46人が死亡した。
別の町ではパン店付近への空爆で、民間人13人と反体制派「自由シリア軍」の地元司令官が死亡したとされる。
HRWによれば、地元住民らは「シリア軍機の音とは違ったほか、飛行高度もずっと高かった」との理由から、ロシア軍機による空爆だったと主張している。
また、シリアの親政府系ラジオ局は当日、これらの村や町の名を挙げ、「ロシアとシリアが共同で」反体制派の拠点を空爆したと伝えたという。
ロシアは先月以降、友好関係にあるアサド・シリア政権の支援を目的に、同国で空爆を実施してきた。在米の「シリア・アメリカ医療協会(SAMS)」はロシア軍機が病院への空爆を繰り返していると非難するが、ロシア側は民間人を標的にすることはないと主張している。
HRWはホムスでの空爆について「無差別な過度の攻撃は戦争法への重大な違反だ」と批判し、ロシアに調査を求めた。
ロシアの外務省はこれに対し、HRWの報告はロシア軍が当時、ホムス周辺にいたとの証拠を全く示していないと反論している。