リメイク版が人気を博したドラマ『のだめカンタービレ』などをきっかけに、韓国でも根強い人気を誇り、今年8月には映画『ビューティー・インサイド』で本格的に韓国進出を果たした女優の上野樹里。日本最大の映像配信サービス「dTV」で日本独占配信されるドラマ『シークレット・メッセージ』に出演した。同作は、韓国の人気グループ・BIGBANGのT.O.Pことチェ・スンヒョンとのダブル主演で、放送前より日韓を通して話題となっている。その話題作への熱い想いや、日常生活での苦労について真摯に明かしてくれた。
◆ダンスシーンの振り付けは、自身のアイディアも盛り込まれている
――ハルカという役どころに関してはいかがですか?
【上野】 ハルカは駆け出しの女優で、過去の自分から抜け出せず、スランプ状態にずっと陥っていたんです。でも、そんな自分を脱却しようと、無言劇(ダンス)のレッスンを受けるために、ひとり日本から韓国へと飛び立つんです。すごく不器用なんだけど、ありのまま頑張って前向きに生きようとしているところに好感が持てるといいますか、何より私が感じたハルカは、淡く薄い、中性的なイメージで、ヒロインだからと言って、すごく美しくいなきゃいけないというわけでもなかったので、いい意味で肩の力を抜いて、マイペースに演じることができました。
――チェ・スンヒョンさんと実際に共演されてみていかがでしたか?
【上野】 このドラマでは、丸メガネをかけて、ちょっとダサい格好をしていて(笑)、いつもの決まったチェ・スンヒョン君の顔とは180度違い、驚かれるファンの方もいらっしゃると思うのですが、ナチュラルな引き出しを一緒に引き出すことができたらいいなと思って、チェ・スンヒョン君とのセッションを楽しませていただきました。とはいえ、劇中で2人の共演シーンはほとんどなくて。私とチェ・スンヒョン君といえば、お互い携帯を見つめて送受信しているシーンが多いんです。
――今作では、上野さんがダンスするシーンも観どころだと思うのですが。
【上野】 ハルカとして、私が感じたものを以前からお世話になっている先生と一緒に振りを、考えました。
――上野さんのアイディアが盛り込まれていると。もともとダンスはされていたんですか?
【上野】 以前、映画に出演させていただいた際に、ミュージカルダンスのシーンがあったので、そのときにレッスンを受けたんです。
◆普通のことも、私だと“違和感”を感じられる
――先ほどハルカが女優としてスランプに陥っていたと言われていましたが、上野さん自身にもそのような時期はありましたか?
【上野】 スランプといいますか、ハルカのような後遺症みたいなものはないですが、このようなお仕事をしていると、ちょっと日本にいるのが生きづらいと感じた瞬間はありましたね。周りはどうとも思ってなくても、どこか引っかかる部分があって。
――有名になればなるほど、普通に街を歩いたり、ご飯を食べに行ったり……当たり前のことが難しくなってしまいますよね。
【上野】 普通に街を歩いてみたいと思っても、じゃあ、どれが普通なんだろう? って。ご飯を食べに行っても、普通にみんなと並んでご飯を食べていたら、何でここにいるんだよ、個室にいろよ(笑)って思われちゃうんだろうなとか。みんなが普通にしていることを普通にしていても、私だと違和感を感じられちゃうんですよね。
――逆に、私たちの日常に上野さんがひょっこりいたら大騒動になりますからね(笑)。
【上野】 そういったズレ、狂いだした感覚を戻したくて、何より自分が自分を大事にしなきゃ元も子もないじゃん! って、NHK大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』の撮影が終わってから、海外で休暇をいただいてリフレッシュさせてもらったんです。日本ではできなかった日常を向こうで経験させていただいたことで、今回の『シークレット・メッセージ』にしろ、その後のお仕事では、自分でも納得のいくいいパフォーマンスができていると思います。
――等身大の自分を常に大事にしているという部分はハルカと共通していますね。
【上野】 ヒロインだから美しいとかそういうのではなく、もっと人間味を感じてもらえるような、等身大の役柄がこれから増えていく気がしますね。私自身、ハルカという役どころにものすごく刺激を受けたのですが、ハルカに共感してくれる女の子がたくさんいてくれたらうれしいです。特に5話以降どんどん物語が面白くなっていくので、最後まで見逃さないように、楽しみにしていて欲しいと思います。