現在、日本には多くの中国人観光客が訪れています。日本政府観光局が発表した、今年2月の訪日中国人観光客は、前年同月比の2.6倍となる約35万9000人となり最高記録を更新。春節休暇が中国人観光客数を底上げした形です。
本書『日本が大好きでたまらない中国人』では、中国人観光客の旅行スタイルが年々変化しつつあることや、どんなツアーや買い物に需要があるかを徹底解説。その一方で、しばしば問題にもなっている中国人観光客のマナーの悪さの理由などにも焦点を当てて、訪日中国人のリアルに迫っていきます。
昨今の中国人旅行者といえば東京・銀座や秋葉原などのデパートや家電量販店での爆買いをイメージされる方も多いと思いますが、こと男性旅行者に関しては「性の爆買い」も広がっているそうです。同書では、渋谷のデリヘル店の関係者が以下のような実態を明かしています。
「今年の春節時期には、日本人客より中国人客のほうが多い日もあった。新宿にある中国人御用達のホテルに、5往復した日もありましたから」
日本の風俗にはまる中国人の男性旅行者。その背景について、同書では習近平政権による風俗の一斉摘発や、中国人男性による日本人女性への強い憧れを指摘しています。一方、中国人セックスツーリストといえば「乱暴」、「マナーが悪い」といったネガティブな報道もありますが、同書では風俗店関係者への取材から「中国人客の質は向上しているという」と綴っています。
さらに意外な事実として、なんと一部の中国人観光客に靖国神社参拝が注目を集めているというのです。度々、歴史認識問題で批判の的となる靖国神社ですが、同書では中国人旅行者向けのプライベートガイドをしている日本人男性の以下のコメントを紹介。
「かつては靖国神社を訪れたとなれば中国で非国民扱いされかねなかったし、日本の右翼に襲撃されることを本気で心配する人もいた。しかし、最近は対日イメージも改善してきていて、靖国神社に行きたいと要望を受けることは少なくありません。日中の対立の象徴のようなこの場所を、この目で見てみたいということなんでしょう。中国人の性格上、有名な場所に行ったことを自慢するのが大好きですし。(中略)最近も、広東省の政府機関の一行を案内したばかり。靖国神社で撮った写真をSNSにアップする人もいますよ」
なんと靖国神社内に併設されている軍事博物館「遊就館」も人気スポットなのだとか。同博物館は、国外のみならず国内でも戦争を美化していると批判されることの多い場所ではありますが、「中国人には軍事マニアが多く、遊就館に展示されているゼロ戦に興奮気味にシャッターを切る人も少なくない」(同書より)といいます。
今年の訪日外国人は年間1700万人を超えるペースで、中国人だけで1,000万人を越すとも言われています。今後、その数字がますます伸びていくと予想されますが、日本人の知らない中国旅行者の「別の側面」に目を向けてみるのもおもしろいかもしません。