山東省青島市で起こったボッタクリ騒動が話題となっている。同市の飲食店で茹でたエビを一皿頼んだ客が、会計の際に請求された額はなんと3万円だった!
メニューには720円の値がつけられていたのだが、その下に小さな文字で(一匹の値段)との但し書きがあったのだ。店側はこれを根拠に支払いを強要。客は泣き寝入りするしかなかったという。
ちなみに被害に遭った客はその後、ネット上に事の顛末を告発。大きな話題となったことから、この飲食店は警察から約170万円の罰金を科せられた。しかし飲食店もさるもの。罰金支払いを逃れるため、経営者は店を畳んで姿をくらましたという。
この一件以降、「エステ店でマッサージに使用されたアロマオイル1滴につき約1800円を請求された」というものや、「白粥1杯に約1900円取られた」というものまで、中国のネットやメディアによるさまざまなボッタクリ被害の告発が相次いでいる。
重慶市在住の自営業・砂川孝昌さん(仮名・50歳)も被害に遭いかけたばかりだ。
「ふらっと入った洋服屋でジーンズを試着したんですが、まだ買うとも言っていないのに店員が勝手に裾上げをしてハサミを入れやがった。しかも請求額は1万2000円。中国製の聞いたこともないブランドなのにあり得ない額です。無視して店を出ようとすると、強面の男が店の奥から出てきた。私は、『工商局の知り合いに電話するぞ』と一喝して事なきを得ましたが、普通なら払わざるをえない状況でしょうね」
しかし、中国では昔からボッタクリや詐欺はあったはず。広東省トングァン市のメーカー勤務・高島功夫さん(仮名・38歳)はその変化についてこう解説する。
「昔は手口が巧妙だったり、被害者が気づかないものが多かった。最近のボッタクリは芸がなく、ただのカツアゲに近く、コンビニや文房具店でもボッてくるんで、油断も隙もあったもんじゃない。疑心暗鬼になるあまり、タバコ一箱買うのにも何度も値段を確認してしまい、ストレスになる」
「景気が急速に悪化する中、かつてはまともな商売をしていた店が、背に腹を代えられずにボッタクリに手を染めるというケースが増えている。特に飲食店では、贅沢禁止令の影響で売り上げはガタ落ちですからね」
一方、中国でのタレント活動歴もある俳優の宮下匠規氏は、別の見方をする。
「『怒れる中国人』が減ってきているのです。かつての典型的中国人なら、ボッタクリに気づけば、火がついたように怒って大騒ぎしていた。しかし、最近ではそういったことは『はしたない』とされ、少々不満に思っても支払ってしまう人も多くなっている。特に都市部在住者は以前よりもずいぶん紳士的になっている。店側にとってはやったもん勝ちです」
『新華網』(10月16日付)によると、新宿・歌舞伎町で中国人観光客がボッタクリ被害に遭うケースも続発しているとして、在日中国大使館が自国民に注意喚起を行ったという。ついに中国人も日本人にボラれるほど落ちぶれた!?
■ボラれない「五箇条」
ボッタクリ横行するなか、中国人たちはどのように被害を回避しているのか。飲食店で避けるべき店の五箇条を紹介しよう!
新規店を避ける 中国には「悪評が広まったら場所を変える」という、ヒット・アンド・アウェー商法の悪徳店が多いため
「隠れ家」を避ける 周囲に飲食店がなく、ぽつんと佇む隠れ家的な店は、飲食業の許可が取れない場所で営業する違法店の疑いが
好立地店は避ける 観光地や駅の近くなど、リピーターがいなくてもいいような立地の店は、ボッタクリに手を染めやすい
お通しは値段確認 中国では、食事のはじめに頼んでない小皿が出されることが多いが、信頼できない店では値段を聞くべし
「何でもいい」は禁句 お茶や海鮮の種類を聞かれた際、「なんでもいい」と答えると、目玉の飛び出る価格を請求されることも