米国立保健研究所(NIH)は22日までに、動物実験などでのチンパンジーの利用を中止し、飼育する全ての個体を保護施設などに移す方針を明らかにした。将来の医療実験用に一定数のチンパンジーが必要とのこれまでの立場を転換させた。
米連邦政府が唯一承認するチンパンジー保護施設(米ルイジアナ州)の運営責任者は、NIHが現在飼育する約300頭は今後2年もしくはより長期の期間内に同施設へ移されるとの見通しを示した。
NIHのフランシス・コリンズ所長は声明で、チンパンジーの利用効果について再評価したと指摘。英科学誌ネイチャーとの会見では、利用の必要性は実質的にゼロに等しいとの結論に達したとの考えを示していた。
同研究所が飼育していたチンパンジーは肝炎やエイズウイルス対策の医療研究で実験の対象となってきたが、役目を終えて保護施設に移される前に数十頭が死亡したとされる。