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鳥取、下着、ラブホ……中国人観光客が好む意外な場所・モノは?

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訪日中国人の動向に異変が起きている。

 10月初旬の大型連休「国慶節」に伴い、Baidu本国の検索サービスのデータより調査・公開した「中国人の検索結果ランキング」の上位には、意外な地名が並んだ。これまで東京、京都、大阪といった世界的大都市が上位を占めていた同ランキングに、「鳥取」「秋田」といった日本国内でも比較的メジャーとは言い難い都市がランクインしたのだ。

 その背景には、訪日中国人の行動における、ある変化が隠されていた。

● あの「名探偵」が火付け役  中国人が辿り着く「鳥取」



 今年後半に見られた、訪日中国人行動の大きな変化の1つが、「地方志向」だ。相変わらず5大都市への観光客数は突出しているものの、今年の春節時期には目立たなかった地方への動きが、注目に値するトレンドへと成長している。

 例えば、タイトルでも挙げた「鳥取」。日本では数ある都道府県の中の1つだが、今回の調査ではPCで19位、モバイルでは18位にランクインし、地味に存在感を増してきている。中国人による関連検索ワードを分析すると、その躍進の理由が見えてきた。

 「鳥取」と併せて検索されているのは、日本の人気アニメである「名探偵コナン」、そして「堀越ゆみ」という人名だ。前者については説明不要だろうが、後者についてはほとんどの方が馴染みのない名前だろう。それもそのはず、この「堀越ゆみ」とは、「名探偵コナン」のとある人気エピソードにのみ登場した1キャラクターの名前なのだ。

 「名探偵コナン」は中国語でも刊行され、現地でも高い人気を誇っている。作者の青山剛昌氏の出身地が鳥取であること、さらには作中屈指の人気エピソードである「小五郎の同窓会殺人事件」の舞台のモデルとなった旅館が鳥取にある、ということで訪れる同作品のファンが年々増えているという。

 このような、人気の日本製ソフト・コンテンツを入口に地方都市に辿り着き、現地の観光資源に触れることで土地のファンになる、という流れは訪日中国人動向の新潮流を理解する上で重要な視点の1つとなっている。現在1番人気となっている北海道も、元々は同地を舞台にした映画が元となり、現地を訪れた観光客が景色や海産物の魅力を広めたことで、現在の地位を築いている。

 実は同様の事例は鳥取だけではなく、他の地方にも見られている。人気アイドルグループAKB48の「こじはる」「まゆゆ」をキーワードに「埼玉」に辿り着いたり、「山口百恵」とその主演映画である「エデンの海」をキーワードに「静岡」へ、人気マンガ「スラムダンク」を入り口に「神奈川」へと辿り着いているケースも、検索データからわかったことだ。

● 中国人が検索する 「下着と水着とラブホテル」

 訪日中国人の動向に変化が起きているのは観光だけではない。これまで日本に来て「爆買い」するものといえば、高級ブランドの服や靴、化粧品といったファッション関係、または日本製の家電製品というイメージが主流だったが、検索データからはこういった買い物についての新しいトレンドも発見できる。

 まず、意外なものとしては「水着」「下着」が挙げられる。中国人が日本滞在中にBaidu(中国版)で検索する回数はなんと1日あたり1000回を超えている。もう10月という時期にもかかわらず、これらのデータが伸びている背景には「中国にはカワイイものがない」という不満が見受けられる。同様の理由から、妊婦さん向けのベビー用品も高い人気を誇っている。

 「中国にないもの」という観点からは、もうひとつ興味深いものが挙げられる。それは「ラブホテル」。これは単純に観光客が殺到するシーズンで他に宿泊先がないから、という現実的な旅行者の事情と、「日本のラブホテルは装飾がすごいらしい」という噂が中国国内で話題になっていることが背景にある。なお「ラブホテル」の日本滞在中検索数は1日あたり1800回ほどとなっている。

 一方、銀座などに店舗を構える高級ファッションブランドに関する検索数は、国慶節の期間中、想定ほど伸びなかったが、前後1ヵ月の期間全体の総数で見ると、昨年に比べてさほど変化しておらず、従来のピーク型から平準化していることがわかっている。

 また、より大きな動向の変化としては、レンタカーや車両保険の情報に対するニーズが高くなっており、個人旅行の割合が伸びていることも、今年の国慶節に見られる訪日中国人動向の特長となっている。


● 中国人客獲得に何より大事な「スマホ対応」

 これまで、「観光」と「買い物」の2つの観点から、今年の国慶節に見られた訪日中国人の最新動向事例をお伝えしてきたが、この両方に共通するもっとも大きな彼らの行動変化がある。それは「スマホ」の普及だ。

 訪日中国人の検索動向を分析すると、2014年はPCとスマートフォンの情報検索数に大きな差はなく、ほぼ半々となっていたが、今年に入り、スマートフォンによる検索量が大きな伸びを見せている。特に来日前~来日中を通じてのスマホ利用が顕著に増加していることがわかっている。なお、PCの検索数が減っているわけではなく、純粋にスマホでの検索数が上乗せされている形だ。

 旅行先での行動においてスマホが手放せないツールとなっていることは、まず日本のハブ都市である東京に着いてから、その後のプランはその場で検索、自分の好きなように調べた情報に基づいて行動する、という行動や個人旅行の拡大にも明確に現れている。東京から他の地方へ出かけるときにもスマホによる情報収集は一般的だし、買い物する商品や場所を選ぶ際にも、スマホの活用はもはや前提となっている。

 こうした訪日中国人を獲得していくための「スマホ対応」、具体的には来日の「前」と「後」のそれぞれで、次のような取り組みを行うことが重要だ。

 まずは「店舗に来る前」の情報接触機会をつくること。来日前や日本についてからの情報検索時に、自社の情報に触れてもらうことで、観光客は安心して商品購入に進むことができる。

 そして次に、帰国後に自国から再訪できる「越境EC」の整備だ。せっかく店舗を気に入られたとしても、再度日本に来るまで接触機会がないことは非常にもったいない状態だと言える。その際有効な手法としては、ECサイトにアクセスできるQRコードの配布が挙げられる。日本ではまだまだ活用が進んでいない印象が強いQRコードだが、中国では非常に普及が進んでいるサービスだ。

 今や日本の事業者にとって重要な役割を占めることとなった訪日中国人の購買行動。彼らの情報収集行動から得られるデータを通じて、私たちは最新のリアルな姿に触れることができる。読者の皆様が彼らのデータをうまく活用し、刻一刻と変わる訪日中国人動向に適切な対策をと取り組まれていくことを願う。
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