信号機のない環状交差点「ラウンドアバウト」が、導入されてから11月末までの1年3カ月で、7都府県の12カ所から15都府県の49カ所に増えた。警察庁が3日、発表した。来春には19都府県の58カ所になる予定。死亡事故などの重大事故はなかったが、各地で導入直後に運転者のルール違反が散見されたという。
ラウンドアバウトは昨年9月の改正道路交通法の施行で「環状交差点」と名付けられ、専用の標識ができたほか、時計回り▽環状道優先▽環状道への進入時は徐行▽出る時は方向指示器で合図――といったルールが定まった。
出合い頭の事故が起きにくく、速度が出せないため重大事故が減るとされている。調べた結果、重大事故はなかったが、進入しようとした車が環状道を走っていた車やバイクにぶつかったり、横断歩道の歩行者が環状道を出ようとした車にはねられたりした軽傷事故が昨年9月~今年10月に計5件あった。
一方で、環状道を出る時に合図をしない▽環状道が優先なのに枝道から無理に進入する――といったルール違反が導入直後に目立ち、利用者へのルールの周知という課題が改めて浮き彫りになった。(八木拓郎)
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〈ラウンドアバウト〉 1960年代に英国で生まれた。車両の運転者が枝道からタイミングをはかり、環状道に入る。信号機の設置や管理費用が必要ない。交通量が多い交差点では逆に渋滞を生むため、交通量が少ない郊外の生活道路や市街地の裏道などに適しているとされる。