エルサレムにあるごみ捨て場の遺跡からこのほど、思いがけないものが出土した。2700年前の王の印章だ。
ヘブライ大学(エルサレム)の発掘チームが発見したのは、紀元前8世紀のユダ王国の王、ヒゼキヤの印章。粘土で作られた印章は幅1センチ強の楕円(だえん)形で、パピルスに押印するのに使われたという。
発掘作業を指揮したエイラト・マザル氏は、CNNに「王の印章は非常に重要なものだった。王以外の誰かが使用する許可を得ていたとは考えにくい」と語った。
その上で「つまり、刻印も王自身が、自分の指輪を使って刻んだと考えるのが妥当だ」と指摘した。
旧約聖書にも登場するイスラエル王国やユダ王国の王の印章を学術調査隊が発見したのはこれが初めてだという。
印章には古代ヘブライ語で「ユダ王アハズ(の子)ヒゼキヤのもの」と書かれている。中央には2つのアンク十字にはさまれて下向きの翼を生やした太陽が描かれている。これは生命のシンボルだ。
印章が見つかった場所は、エルサレム旧市街のシルワン地区にある古代のごみ捨て場。印章は、王室関係の建物からごみと一緒に捨てられたと考えられている。
もっともここは、東エルサレムのパレスチナ人居住地区であり、イスラエルのチームが発掘を行うことには異論もある。発掘は東エルサレムや旧市街に対するユダヤ人の権利を主張するための「歴史的根拠」を探すためで、政治的な動機によるものだとの批判も聞かれる。