最近、中国では、中高年による珍事件が多発している。彼らに、いったい何があったのか?
まず「現代金報」(11月24日付)が報じたのは、老人による理不尽な放火事件。食堂を営む夫婦が就寝中、外から車のクラクションが大きく鳴り、「火事だ!」と近隣住民が叫んだ。夫婦は店舗の雨よけが燃えているのを見て、急いで消火を行い、事なきを得たが、監視カメラには、夜11時半頃に青い長袖の作業服を着た老人が放火して逃げる様子が録画されていた。この映像が決め手となり逮捕された老人は、取り調べに対して、こう答えたという。
「あの店の豆乳は味が薄いんだ。だから文句を言ったら、口論になった。ずっと恨みを抱えて、報復する機会をうかがっていた」
老人は放火の罪で、懲役3年の刑に処されたという。食べ物の恨みは怖い……。
一方、同22日には江蘇省淮安市で、過去20年間もニワトリを盗み続けていた52歳の男が9度目の御用となった。この男は、農家から21羽のニワトリを盗んだとして逮捕。8月に同じニワトリ窃盗で刑務所から出てきたばかりだったが、「我慢できなくなった」という。男は逮捕後も反省の色をまったく見せず、「20年にわたる訓練(窃盗)の結果、ニワトリ語がわかるようになったんだ。ニワトリが叫ばないので、誰にも見つからず盗むことができたよ」と豪語したという。
一方で、笑えない事件もある。同25日、陝西省の省都西安市の閑静な住宅街に住む59歳の女性が、トイレをめぐり、スーパーの女性店員と殴り合いのケンカになったことが話題となった。
(路上で用を足した女と、スーパー店員によるバトル)
女性は団地の広場でダンスをしていたが、尿意を催して団地の公衆トイレへ移動。しかし、すべてのトイレが使用中で我慢できなかったため、そのままトイレの前でしゃがみこんで用を足してしまったという。団地の地下にはスーパーの牛乳売り場があり、上階のトイレからはよく水漏れする。小便がそのまま牛乳売り場に流れ落ちることを懸念したスーパー店員が激怒し、乱闘に発展したという。大の大人が衆人環視の下、用を足すという行為には、中国SNSでも批判が殺到した。
日本でも最近、身勝手でワガママな中高年が増えているが、中国でも同じ現象が起きているということなのか? だが、「少し事情が違う」というのは、香港に駐在経験のある大手紙の社会部記者だ。
「中国の50~70代の中高年世代は、中国がまだまだ貧しい時代に青春時代を過ごし、文化大革命など、つらくて貧しい時代を経験した。厳しい時代を乗り越えた老人たちは皆、我が強いというか、自分の主張を絶対に譲ろうとしない。老いが重なって、ますます意固地になった結果、自分勝手な犯罪に手を染める中高年が増えてきている。地下鉄や食堂などでキレて暴れてるのは、たいてい中高年ですよ」