JR埼京線や横浜線で活躍してきた205系。JR東日本は今年4月、南武線で使用してきた120両をインドネシアの「ジャカルタ首都圏鉄道」(KCJ)に譲渡すると発表しました。少しずつ譲渡を進めてきましたが、12月6日夜に最後の車両が営業運転を終えました。終点を前にして流れた車掌のアナウンスが「感動的」「泣いた」と話題になっています。どんなメッセージだったのでしょうか? JR東日本に話を聞きました。
終点の武蔵中原駅が近づくなか……
川崎駅(神奈川県)と立川駅(東京都)などを結ぶ南武線。譲渡されるのは、この路線を走っていた205系の120両ですが、全車両というわけではありません。1編成は今も現役で、1月9日まで運行予定です。
譲渡される最後の車両の最終運行があったのは12月6日。最後の車両ということもあって、11月16日から「南武線→海外譲渡」と書かれたヘッドマークをつけて運行していました。また、車内には幼稚園児や保育園児が描いた絵や205系の塗り絵などを展示。そのままにしてジャカルタへ譲渡されます。
終点の武蔵中原駅が近づくなか、こんなアナウンスが流れました。
「ただいまご乗車いただいておりますこの車両は、本日をもちまして南武線の営業運転から引退し、今後はインドネシア・ジャカルタに渡り、走り続けることとなります。まもなく終点の武蔵中原です。電車をお降りの際は、お忘れ物のございませんように、また、この電車との思い出もお持ち帰り頂けたら幸いでございます」
アナウンスを聞いた乗客たちが、ツイッターにそのときの様子を投稿すると、「車掌さんの言葉に感動」「泣けた」「号泣」といったコメントが寄せられました。
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JR東日本に聞きました
このことについてJR東日本に聞いたところ、こんな回答が寄せられました。
「実は12月6日に最終日を迎えた当該車両では終日、このようなアナウンスをしていたんです。最終列車だけではありません。長らく南武線205系をご愛顧いただいたお客さまへの感謝の気持ちを込めました。こうした反響をいただけたことを、ありがたく思っています」
ジャカルタでは主力車両として活躍
これまでにジャカルタへ渡った205系は、今回の分も含めると500両近くになります。現地では主力車両として活躍しています。
KCJが日本の中古車両を積極的に導入するきっかけとなったのは、2000年に都営地下鉄三田線の車両を無償譲渡したことでした。不要になった電車を、カネをかけて解体するのではなく有効活用しようと、日本と同じ線路幅のインドネシアに譲渡したのです。
それからKCJは日本から中古車両を買うようになり、増えた車両を武器に2008年からの6年で運行本数を5割増やし、1日の乗客数を倍の65万人に伸ばしたといいます。積極的に売り込んでいるJR東日本は、「アフターサービス」として技術者を派遣。鉄道運営で相互協力していく覚書も締結しています。
JR東日本は「これまでインドネシアにおいて実施してきた技術支援は、世界の鉄道発展への寄与、廃車予定の車両の有効活用による環境面での意義、海外での技術支援のノウハウ獲得といった観点から実施してまいりました。今後もオペレーション、メンテナンス、及びマネジメントの分野で協力していく予定です」としています。