トルコのイスタンブールで、大型犬のゴールデンレトリバーを飼い切れなくなって捨てる飼い主が後を絶たない。見かねた愛犬家が保護活動を展開し、これまでに数百頭が海を渡って米国で里親を見付けてきた。
イスタンブールの街中や山林で捨て犬を集めて里親を探す活動を続けているヤセミン・バーバンさんは、10年前に海外からトルコに帰国して、施設に収容された捨て犬のあまりの多さにショックを受けた。
当時イスタンブールではゴールデンを飼うことが流行中。しかし可愛がられるのは子犬の時だけで、ペットショップで子犬を買ったものの、成犬になると飼い切れなくなって捨ててしまう飼い主が相次ぎ、ゴールデンの野良犬が激増した。
人と暮らすことに慣れているゴールデンは野犬として生きていくのが難しく、寒さで死んでしまうこともあるという。
そこでバーバンさんたちが保護活動を開始。たまたま知り合った米国人から、米国ではゴールデンの里親になりたがる人が多いと聞き、アトランタにあるゴールデン保護施設との提携が実現した。同施設はこれまでに、イスタンブールから123頭を受け入れてきた。
うわさを聞いて米国の他の施設もトルコからのゴールデンの受け入れに乗り出し、これまでに200頭以上が引き取られている。里親探しの犬は避妊や去勢を済ませ、必要な場合は治療を受けさせる。活動はすべて寄付が頼りだという。
イスタンブールは昔から野良犬の多さで有名だった。餌をやったりして可愛いがる住民も多く、野良犬の捕獲と殺処分を認める法改正が2012年に提案された際は、各地で大規模な反対運動も起きた。野良犬の数はイスタンブールだけで7万頭とも15万頭ともいわれている。