85度Cが「国際ブランド」目指し欧米展開加速へ
コーヒーチェーン「85度C」は国際ブランドへの転換を加速する。同チェーンを展開する美食達人の謝健南・最高経営責任者(CEO)は23日経済日報のインタビューに対し、今後米国を足がかりに現地社員の起用を進め、欧州市場への進出も目指す方針を明らかにした。同社が昨年以降台湾で開業した4店舗では商品や内装のデザイン見直しを図り、ブランドイメージの刷新に努めている。謝CEOは目指すイメージを「パンの製品ラインナップを強化したスターバックス」と表現した。これらの4店舗は旧式店舗と比較すると売上高が10%以上増加しているという。
オプトランの台湾工場が操業開始
光学薄膜成膜装置の株式会社オプトラン(埼玉県川越市)の台湾支社(日商光馳科技)が22日、台中工業区で新工場の竣工式典を行った。タッチパネルやスマホ向け薄膜製品製造装置などを製造する。投資額は1億元で、50〜100人の雇用創出が見込まれる。同社の薄膜蒸着製造装置は世界で20%超、台湾では50%以上のシェアを持つ。経済部投資処は、台湾の電子光学製品のコスト削減と国際競争力強化につながると期待を寄せている。
連勝文氏、台北市長選出馬意向を表明
国民党中央委員の連勝文氏は23日、今年11月に行われる台北市長選に出馬する意向を表明した。経済を軸に台北を振興し、市財政の健全化や台湾経済の回復につなげたいとしている。連氏は「中華民国に20世紀時の『アジアの経済大国』の姿を取り戻させ、海外諸国に尊敬される台湾をつくり上げたい」と語った。
孫文像が倒される
台南市の湯徳章記念公園にある孫文の銅像が22日、「国民投票で台湾を護る連盟」のメンバー30人によって倒された。銅像は台の上に立っており、2メートルの高さで重さは600キロ。銅像は「ROC OUT」などとペンキで落書きされた。メンバーは「台湾独立万歳」を叫んだ。国民党市議会議員らが現場に駆け付け、メンバーと対峙したが警察に阻まれた。台南市警察は首謀者を公共物損壊で取り調べ、送検した。
九族文化村でお茶会、日月潭紅茶をPR
先住民をテーマとする娯楽施設で日月潭に近い「九族文化村」(南投県魚池郷)で22日、現地特産の紅茶を楽しむ無料のお茶会が催され、大勢の愛好者が集まった。この施設は敷地内に5000本余りのカンヒザクラが植えられ、昨年「日本さくらの会」から桜の名所に選ばれている。主催者側はこの茶会を通じて桜の花の鑑賞が地元のお茶のPRにつながればと期待を寄せている。
30年で150回訪台の日本人書道家を表彰
1984年から約2カ月に1度のペースで台湾を訪問し、日台間の芸術交流に大きく貢献したとして、交通部観光局は21日、福岡県出身の書道家、原田歴鄭氏(73)に表彰の記念品を贈呈した。観光局によると、原田氏は1984年に来台した際、台湾の書の名家、王壮為氏に弟子入りした。それ以来、年間複数回にわたって台湾を訪れるようになったという。台湾では個展を開いたり講演したり1990年にはさらに台湾芸術大学に一部の作品を贈呈した。
台湾産インドナツメ、年末にも日本進出
台湾産インドナツメ(蜜棗)が年末にも日本に輸出される見通しとなった。行政院農業委員会・高雄区農業改良場では、台湾産インドナツメは大きくて甘いほか、非常にジューシーで貯蔵性にも優れているため、輸出に向いていると強調。3月初めに日本の検疫官が立ち会って最終チェックを行ったのち、年末ごろ日本に向けて輸出され、ハイエンド市場にターゲットを絞る可能性もあるという。
映画「KANO」プレミア上映会に2000人
嘉義市立球場で22日、今月27日から台湾で公開される映画「KANO」のプレミア上映会が行われた。上映会には嘉義市政府や映画会社などにより2000人の観客が招かれたほか、魏徳聖(ウェイ・ダーション)プロデューサー、馬志翔(ウミン・ボヤ)監督、主演の永瀬正敏なども出席。上映会の前にはパレードが行われ、途中、中山路の噴水ロータリーで当時の嘉農の投手、呉明捷の投球フォームをイメージした金色の像がお披露目された。
飲料スタンドのCoCo都可、今年世界2千店へ[商業]
億可国際飲食が展開する飲料スタンドの「CoCo都可茶飲」は今年、世界の店舗数を現在の約1,500店から2,000店に増やす。新たに英国と韓国に出店する計画で、グローバル展開を加速する。
21日付工商時報によると、CoCo都可は現在、海外では米国、シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、中国、香港、南アフリカなどに進出。うち中国では1,100店を超えた。
今年4月には英ロンドンで2店開業し、年内に10店に増やす計画。韓国でも合弁会社が5月にソウルで1号店を開く。広報担当役員の郭鑒之氏は「これまでは世界で1日1店のペースで新店舗をオープンしてきたが、今年は1日1店以上に加速する」と話している。グローバル展開を拡大する中、同社は近く内外で幹部人材を500人以上募集し、将来は関連企業やエリア本部に登用する方針だ。
村民がいなくなり、一人ぼっちになった村長
中国メディア・中国新聞網は22日、台湾桃園県に人口が村長1人という村が存在すると伝えた。
台湾桃園蘆竹郷大華村の住民は、68歳の村長、張克悌さんただ1人だ。大華村は今年1月1日、人口減に伴う行政区域調整によって近隣の宏竹村に合併された。台湾内政当局の解釈によると、合併後も任期満了までは村長としての職権を行使できるとのことだ。
張さんは「任期の保障があって、毎月4万台湾ドルの事務補助費を受け取っているが、建設費もなければ部下も村人もいない。どうやって村長の職権を行使するというのか。やりたくてもすることはない」と語った。まるで「戦場を失った将軍」のようだ。
旧村人のなかには、張さんのことを戦争に出た夫の帰りを1人で18年待ち続けたという唐代の女性・王宝釧になぞらえる者もいたようだ。
米軍幹部、「中国は尖閣奪取に向け対日作戦を立てている」―シンガポールメディア
シンガポール紙・聯合早報は21日、米国海軍の情報部門関係者が「中国の最近の軍事演習は、尖閣諸島を奪取し、日本と『短期的な激戦』を展開して、東シナ海における自衛隊の戦力に損害を与えることが目的だ」と警告したとする台湾メディアの報道を伝えた。
記事は、米太平洋艦隊情報部門責任者のジェームズ・ファネル大佐が先週「中国軍が昨秋に実施した大規模軍事演習『使命行動2013』によって、台湾がもはや中国にとって唯一の重要目標ではないことが明らかになった」と語ったとした。
ファネル大佐はそのうえで、台湾奪回という長期的な任務以外に、中国軍には東シナ海における自衛隊の武力に損害を与えて尖閣諸島を奪取し、さらには沖縄南部の島を奪うという新たな任務が与えられたと語った。
記事は、ファネル大佐が昨年にも「中国が南シナ海で領有権を主張するいわゆる『九段線』における軍事挑発行為が大きく増えており、アジア太平洋地域の情勢が悪化した」などと警告していたことを紹介。また、中国の政府系メディア・環球時報が昨年「中国の潜水艦は核弾頭によって米国西海岸の都市を攻撃可能」と報じたことに対しても憂慮を示したと伝えた。
記事はこのほか、米ウォールストリート・ジャーナルが19日、中国海軍の駆逐艦2隻と揚陸艦1隻が東南アジア海域において過去最長距離の巡航任務を行ったことに対して、東南アジア諸国が「身を挺して領土を守るべきか、貿易パートナーへの非難を避けるべきか考えあぐね」てさまざまな反応を示したと報じたことを併せて紹介した。
台湾・南投、桜咲く湖畔でお茶会 日月潭紅茶をPR
台湾の先住民をテーマとする娯楽施設で日月潭に近い「九族文化村」(南投県魚池郷)で22日、現地特産の紅茶を楽しむ無料のお茶会が催され、大勢の愛好者が集まった。この施設は敷地内に5000本余りのカンヒザクラが植えられ、去年「日本さくらの会」から桜の名所に選ばれている。
茶会は、九族文化村と魚池郷公所などの合同主催により行われ、茶の専門家・茶師は地元だけでなく他県・市からも多くの参加があった。
九族文化村と日本さくらの会の交流は、2003年の日本側からの桜の苗木の贈呈をきっかけに始まり、今年で11年となる。1964年に発足した同会は去年、九族文化村を桜の名所に選定、日本国外での初の名所指定となった。
台湾では1月から3月にかけて中部以北の山地を中心にカンヒザクラやソメイヨシノなどが次々と見ごろを迎えるが、九族文化村でも今花見のシーズンとなっている。主催者側はこの茶会を通じて桜の花の鑑賞が地元のお茶のPRにつながればと期待を寄せている。
集まった茶師らはそれぞれ特色ある茶具を携え、心を込めてしつらえた茶席で特産の日月潭紅茶を淹れて参加者をもてなした。訪れた行楽客らにとっては一層楽しい一日となったようだ。
ソフトクリーム大繁盛中 日本の白一、台北に出店
台湾でソフトクリームの売り上げが飛躍的に伸びている中、日本の業者、「白一(しろいち)」(東京都渋谷区)が22日、台湾一の繁華街、台北のイーストエリア(東区)に正式に出店、海外初の営業拠点となった。
牛乳生アイスの専門店で生牛乳使用のソフトクリームを販売している同社の埜本桂佑社長は台北店舗の開幕式を主催、台湾市場の売り込みを宣言した。
白一側によると、埜本社長自らが台湾各地の牧場を訪れたといい、乳脂肪3.6%以上の無添加生乳を選んで毎日40リットルを購入、自社の設備と技術を生かし、その日のものしか使わないという。
商品1本の価格は135〜185台湾元(約460〜630円)と地元台湾のソフトクリームより割高だが、今後の売り行きが注目される。
台湾、豪華客船大手のアジア市場でトップに
シンガポールをベースに運営する大手クルーズ会社、スタークルーズ(麗星郵輪)(本拠地:香港)が台湾市場に参入して17年となるが、ここ数年は特に好調で昨年の売り上げは台湾がアジア市場でトップを記録した。
交通部の発表によると、2013年の台湾各地の港の利用者数は99万2000人で、前年比で41.8%増加。このうち国際クルーズの利用者は39万9000人とこちらも前年比で45.5%の増加となっている。
スタークルーズでは台湾を含む成長著しいアジアのクルーズ市場に狙いをつけ、昨年10月、16万トンの客船の新規購入を発表していたが、つい先頃も収容人数4500人、15万トンの船の購入を発表した。いずれも現在運航中で最大でも7トン余りの9隻より大きい。
新たに購入された大型客船2隻は2016年と2017年に相次いで就航し、台湾が寄港地となる可能性も高いという。
Perfumeも熱唱 台湾KKBOXミュージック・アワード
音楽イベントの第9回「KKBOX風雲榜」が22日夜、台北アリーナで開催され、中華圏などアジアのアーティストを対象とする「十大風雲歌手」などが発表された。この授賞式では日本から駆けつけたPerfumeも歌を披露した。
オープニングではリン・ジュンジエが「因[イ尓]而在」で会場を盛り上げ、2年ぶりのアルバム・リリースであっというまに「十大風雲歌手」入りしたソーダグリーンも「狂熱」、「我好想[イ尓]」、「再遇見」などを一気に熱唱。会場のファンからも歌声が上がった。
授賞式のクライマックスは日本からスペシャルゲストとして招かれたPerfumeの歌とダンス。ステージに登場した3人(=写真)は曲の合間に中国語で自己紹介、日本語に英語を交えて観客に声をかけ、「Magic of Love」、「チョコレイト・ディスコ」のパフォーマンスに台湾のファンは夢中になった。
<台湾>夏の甲子園準優勝「嘉農野球部」描く映画公開へ
日本統治時代の1931年、台湾代表として夏の甲子園に初出場し準優勝した嘉義農林学校(嘉農)野球部の実話を元にした台湾映画「KANO」公開を前に記念イベントが22日、台湾南部の嘉義市で行われた。
主演の近藤兵太郎(ひょうたろう)監督(1888〜1966年、松山市出身)を演じた俳優の永瀬正敏さんや、プロデューサーの魏徳聖さん(44)らが参加。市中心部では準優勝時のエース、呉明捷投手の像の除幕式が行われ、呉さんの次男・堀川盛邦さん(58)=埼玉県=らが、甲子園初戦で勝利したときの野球ボールを嘉義市に寄贈した。魏さんは「台湾の人々に台湾野球の源流を伝えたい」と発言。永瀬さんは「近藤監督は人種を超えてチームを作り、結果を出した。未来志向の考え方を多くの国の人に知ってほしい」と話した。
台湾で一般公開は今月27日。日本では3月7日に大阪アジアン映画祭で上映される。
台湾、女子500キロで金/綱引きの世界選手権大会
インドア綱引きの世界選手権は21日、アイルランド北西部のカスルバーで2日目が行われ、公開競技の女子500キロでは台湾の代表チームがスペインなどを下し、無傷の10連勝で金メダルに輝いた。
このチームは景美女子高校(台北市)の生徒や卒業生を主力としたもので、22日から始まる正式競技にも出場し、念願の3連覇に挑む。
スポーツの強豪校より進学校のイメージが強い景美女子高校だが、2010年に綱引きチームが初めて世界の頂点に立って以来、文武両道に秀でる名門として再認識された。
また、マスコミの報道を通して、部員たちが国際大会で好成績を残すため、増量の上、「恋愛禁止」のルールを守って長時間の練習に打ち込んでいたことが明らかになり、台湾中に大きな感動をもたらした。2013年、チームの挫折と栄光を描いた映画「志気」(郭書瑤=瑤瑤(ヤオヤオ)主演)が公開され話題を呼んだ。
日本研究センター開設=知日派育成目指す―台湾大学
台湾大学は22日、人文、社会科学分野を中心とする「日本研究センター」を開設した。日本統治時代に教育を受けた「日本語世代」の多くが社会の第一線から退く中、日台の懸け橋となる次世代の知日派人材の育成に取り組む。
同センターは、日本の各分野に通じた若手を積極的に育成するとともに、日本、中国、韓国、欧米などの日本研究機関とも連携・交流し、国際日本学研究の一大拠点を目指す。対外連携の第1弾として、名古屋大学の「アジアの中の日本文化」研究センターと同日、学術交流協定を締結した。
日本統治時代の「新北投駅」駅舎が里帰り 年末には復元工事終了
台湾中部・彰化県の個人博物館にそのまま保存され解体の危機を逃れていた台鉄の旧・新北投駅の駅舎が25年の時を経て“故郷”の台北市北投区に戻ることになり、22日地元の北投温泉で駅の模型などを載せた駕篭を迎えてのパレードが行われた。この駅は1916年、日本統治時代に開業した淡水線の支線の終点として誕生したもので、台北市にとっては唯一現存する木造駅舎となる。
この日、北投温泉の地域住民や台北市文化局などの関係者、総勢50名余りの代表団が彰化に赴いて駅舎の鬼瓦や看板などを迎え、彰化県や彰化市の関係者らがこれを涙ながらに見送った。一行はまず、台鉄・新竹駅に立ち寄り、古い駅舎同士の交流覚書にサイン。その後、ふるさとの北投に戻ると、沿道で地元・国防大学の軍楽隊の演奏や銅鑼に爆竹が鳴り響く中、駅の模型や瓦などを載せた駕篭が台北メトロ北投駅からかつての新北投駅があった七星公園までにぎやかに練り歩いた。
台鉄・新北投駅はかつての淡水線の支線、新北投支線の終点駅。この2つの路線は日本統治時代に台湾総督府が進めた鉄道整備で、淡水線は淡水港から台北までの物流の迅速化を目的に1901(明治34)年に、新北投支線は北投温泉への湯治客輸送のため1916(大正5)年に開業したもの。いずれも台北MRT淡水線の建設工事開始にともない1988年7月に廃線となった。
旧・新北投駅の駅舎はすでに分解工事がすんでおり、今年の末には北投・七星公園で復元が終了、2016年にも一般開放される。
台湾独立派が孫文像を引き倒す―国民党側が猛非難
「台湾と中国は別の国」を主張する政治団体、公投護台湾聯盟のメンバー十数人が22日午後、台南市内の湯徳章紀念公園内に設置された孫文(孫中山)の重さ約600キログラムの銅像を引き倒した。国民党関係者が現場に駆けつけて非難し、双方がにらみ合いとなった。中国新聞社などが報じた。国民党にとって「中華民国の創設者」である孫文は「国父」だが、公投護台湾聯盟などの考えにもとづけば、孫文は「偉大かもしれないが、別の国の指導者」ということになる。
公投護台湾聯盟の関係者は22日に、台北、台中、高雄などの都市からも集まり始めた。22日午後1時半ごろ、自動車に分乗して湯徳章紀念公園内を訪れ、孫文の像の安全強度を確かめるなどと言い、綱をかけて弾いて倒した。
公投護台湾聯盟側は孫文像を引き倒したことについて「台座部分がすでに壊れていた。市政府は撤去しようとしたが、国民党側の抵抗にあい、争いになっていた。わが方は孫文について、とかく言うつもりはない。人々の安全を考えただけだ。実地に測定したところ、ロープ2本をかけただけで、1分も要せずに像は倒れた」と説明した。
市警察の警察官十数人が現場に駆け付けた時に、像はすでに倒されていた。続いて、国民党台南党支部の謝龍介主席委員らの国民党関係者が続々と現場に到着し、公投護台湾聯盟側に抗議を始めた。公投護台湾聯盟側に他の地域から来た者が多かったことから「あんたらは、台南の者じゃないだろう」とも指摘した。
国民党側は警察を「無能」として厳しくなじりはじめた。国民党側と公投護台湾聯盟側はその場で対峙を続けたが、約30分後に警察が公投護台湾聯盟の責任者である蔡丁貴容疑者を公共物毀損の現行犯で逮捕したことで、双方は引き上げた。
なお、現場に駆けつけた国民党員は「古跡を破壊した」と非難したが、台南市文化局長の葉沢山局長は「公園は市の古跡に指定してされているが、孫中山の像は違う。今後の処理については、専門家を招いて議論する」と述べた。像があっけなく倒されたことについて葉局長は「そんなに速く倒せたのか」と驚いたという。
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◆解説◆
台湾では1945年に日本の統治が終了する以前からの住民とその子孫を「本省人」と呼び、戦後に国民党の台湾進出と中国大陸からの撤退にともない台湾に移り住んだ人やその子孫を「外省人」と呼ぶ。台湾人口学会が2004年に開催したシンポジウムでは、「外省人」は全人口の10%程度との見方が示された。
「外省人」は一般に「台湾は本来、中国の一部」とみなす傾向が比較的強いとされる。ただし、中国共産党に対する不信感や体制維持を望むなどで、中国大陸との統一をそのまま支持しているとはかぎらない。
逆に「本省人」は「中国と台湾は別の国」との意識を強く持つ人が多い。「本省人」の祖先の多くは、明代から清代にかけて台湾に移った人。しかし中国では清朝になっても、台湾に対しては「化外(けがい)の地」、つまり皇帝が直接支配している土地ではないとの意識が長く続いた。
「本省人」の多くが台湾に移り住んだ時代、中国で近代国民国家は成立していなかった。つまり、近代的な意味での国民としての中国への帰属意識は固まっていなかったと言ってよい。日本では明治維新にともない近代的な「国民意識」が定着した。
「本省人」(の祖先)にとって、自らが帰属する国としてまず意識したのは、1905年から45年まで台湾を統治した日本だった。その後、敗戦に伴い日本が撤退したことで、「本省人」の多くが「見捨てられた」と喪失感を味わうことになった。「本省人」にはそもそも中国に対する帰属意識がない、あるいは極めて希薄であったために、多くの人は「自分は台湾人であり、中国人ではない」と考えるようになった。
中国への帰属意識がない台湾人にとって1911年に勃発した辛亥革命は、「よその国の革命騒ぎ」となり、中華民国の初代総統に就任した孫文も「よその国の指導者」ということになる。
また、李登輝元総統は在任時、戦いで命を落とした将兵らを称える忠烈祠を定期的に参拝したが、祭られている「英霊」については、「正直に言えば、台湾とは無関係の人ばかり。台湾のために血を流した人ではありません」と指摘した上で、「われわれは人間として、広く人類愛に基づいた考え方で慰霊をするということが大切」と述べた。
同発言は、忠烈祠が大陸部で発生した辛亥革命や国共内戦で犠牲になった将兵を祭っていることにもとづく。
なお、台湾には「本省人」が移り住むよりはるかに古い時代からの住民である「原住民」が存在する。上記シンポジウムでは、「原住民」の人口比率は6%程度との見方が示された。
台湾原住民の文化はポリネシアやインドネシア、フィリピンの古い文化に近く、中華文明とは系統が異なる。「原住民」の言葉は日本でいう「先住民」と同義だが、「先住民」と表記すると「もとは住んでいたが、今はいない」とのニュアンスが出てしまうため、「原住民」が正式用語とされた。
人気歌手ジャム・シャオに再び嫌がらせ、「虫入り郵便」に日本人ファン関与疑惑も
21日、台湾の男性歌手ジャム・シャオが所属するレコード会社に、虫入りの郵便物が送りつけられた。過去にトラブルがあった日本人ファンとの関連性も疑われている。写真はジャム・シャオ。 2014年2月21日、台湾の男性歌手ジャム・シャオ(蕭敬騰)が所属するレコード会社に、虫入りの郵便物が送りつけられた。過去にトラブルがあった日本人ファンとの関連性も疑われている。聯合報が伝えた。
ジャム・シャオが所属するワーナーミュージックに21日、副葬品として使う「冥銭(めいせん)」と釣り餌としても知られる幼虫のミールワームが入った郵便物が送りつけられた。差出人は不明だが、封筒の表書きからジャム・シャオ宛てとなっていた。同社ではすぐに警察へ被害届を提出し、捜査が始まっている。
ジャムには昨年から、トラブルが相次いでいる。最初のトラブルは昨年7月で、資産家の日本人女性によるストーカー行為が明らかに。続いて10月、ジャムとスタッフが路上で、動物の排せつ物を持った男に襲われる事件が発生。警察ではこの日本人女性が事件の主謀者であると特定し、公然侮辱罪や名誉棄損、恐喝、傷害などの容疑で、女性を含む複数名が書類送検されている。
今回のトラブルについて、通報を受けた松山警察署では、過去の排せつ物まき散らし事件との関連性はまだ特定できないと発表。ジャムのマネジャーは、「誰かの恨みを買ったとは考えられない」とコメントしている。しかし相次ぐトラブルについて、ネットユーザーの間からは日本人女性ファンの関与を疑う声が大きい。
大らかすぎる台湾人、大丈夫か?―イエス、アラーの像も祭る廟
台湾南部の屏東県万丹郷に2013年に完成した廟が、道教の主要神やシャカだけでなく、イエス・キリストやアラーの像を祭っているとして、偶像崇拝をとりわけ厳しく禁じるイスラム教関係者などから問題視する声が出ている。廟側の説明は「建設に際して各宗教の神像を共に拝むようにとの神からのお告げがあった」だ。華視新聞網などが報じた。
インドや中国、さらに古代ギリシャなどでは、神像を作り拝むことが普通の行為だった。仏教は当初、シャカの像などを作ることを戒めたが、後に盛んに仏像を造り拝むようになった。インド古来の宗教や、ヘレニズムというギリシャ文明の伝搬が影響したとされている。
絶対唯一神を信仰するユダヤ教では、いかなるものを表したものであれ「像」を作る行為そのものを禁止しており、とりわけ神像を設けることは「人知を超越して絶対の存在である神を、可視化することによって人が認知しようと試みる行為」として厳しく禁じている。
ユダヤ教から派生したキリスト教も基本的には偶像崇拝を禁止。宗派により異なるが、十字架にかけられたイエス・キリスト、聖母マリア、その他の聖人の像については「信仰のイメージを得るための助けにするためであり、像を崇拝するのではない」といった立場だ。
イスラム教も歴史的にはユダヤ教の系譜に属し、偶像崇拝の禁止が徹底されており、明らかな偶像ではなくとも、「偶像になりうる可能性がある」と見なされるものが否定されている。
屏東県万丹郷に完成した同廟では、道教が主要3神とする玉清、上清、太清や仏陀だけでなく、イエス・キリストやアラーの像が祭られている。イエス・キリストやアラーの像も道教の神と同様の様式で、東アジア人と比べれば眉毛が濃かったり異国風のかぶりものをしている程度の違いだ。
廟側は「建設に際して各宗教の神像を共に拝むようにとの神からのお告げがあった」と説明。「宗教の大融和のため」との考えだ。
訪れた信者は中華圏で一般に行われているのと同様に、香に火をともして奉げて礼拝する。キリストやアラーの像の製作を依頼された彫刻師は「前例がなく、どのような像を作ってよいか分からない」としていったんは断ったが、結局は9カ月という異例の長い時間をかけて完成させたという。
台湾人キリスト教牧師の曾鴻志さんは「キリスト教徒は本来、偶像崇拝をしません。(万丹郷の廟に来る)信者は宗教の大融和ということを固く信じているが、なんだか丸めこまれて皆で拝んでいるようです」と話した。
中国(中華民国)回教協会の白美玲副秘書長は、「宗教の融和には異を唱えませんが、イスラム教は偶像に反対しています。いかなる信者であれ、神の姿を見た者はいないのです。なのにどうして、アラーの像を作れるのでしょうか。口頭で言っているだけならまだよいのですが、アラーの名を刻んでいたりした場合には、取り消すように抗議することもありえます」と述べた。
同廟がキリストやアラーの像を設けたことは、東アジア的な「大らか」な宗教意識にもとづくものであり悪意はなさそうだが、他宗教の「厳しい戒律」にかかわることだけに、台湾社会に複雑な問題を投げかけてしまったようだ。
イスラム教を信じる台湾人は1万人台と推定される。総人口の約2300万人に占める割合は大きくないが、台北、台中、台南、高雄などの主要都市にはモスクが存在する。また近隣のインドネシアから職を求めるなどで台湾に来て長期滞在する人も多い。インドネシアはイスラム教を主要宗教とする国としては世界で最も多い約2億3800万人の人口を持つ。
台北市長選挙がもうヒートアップ“政治素人”「柯文哲現象」とはなにか
台湾の台北市長選挙がヒートアップしている。焦点となっているのは、台湾大学病院の外科医、柯文哲だ。世論調査によると野党候補としての人気はダントツのトップ。
台湾の台北市長選挙がヒートアップしている。焦点となっているのは、台湾大学病院の外科医、柯文哲(カー・ウェンジャー)だ。世論調査によると、野党候補としての人気はダントツのトップ。実は台北市長選挙が行われるのは今年の12月頃でまだまだ先の話なのだが、ずぶの素人が政治の世界に乱入したことで一つの社会現象にまでなっている。
こうした「柯文哲現象」については、すでに朝日新聞1月17日朝刊の記事「台湾政界、素人の乱 台北市長選、54歳医師が有力」で報じられている。
台北市市長といえば陳水扁、馬英九と現職、前職の総統を生み出した政治の要衝。医師出身の政治素人が台湾政界の台風の目となるのだろうか?
■既存の政治社会システムに対する不信感の代弁者
柯文哲は1959年生まれ。祖父は日本統治時代に中学校の教師をしていたが、二二八事件で拷問され、釈放はされたものの1950年に亡くなった。柯文哲が生れる前のことである。彼の父親は二二八事件受難遺族としての暗い記憶を抱えているため、息子が政治の世界へ入ることには反対しているという。
台湾では戦後しばらく国民党による一党独裁が続いたが、そうした権威主義体制がもたらした二二八事件や白色テロといった恐怖政治に対する批判として民主化運動が胎動、政治体制の中枢は外省人によって独占されていたことへの反発から台湾独立の主張もここに重なった。1986年には民進党が結成され、中台統一派の泛藍陣営(国民党や、国民党から分裂した新党、親民党など)、台湾独立派の泛緑陣営(民進党や李登輝を支持する台湾団結連盟など)という二大勢力が対立する政治構造が形作られてくる。
柯文哲は二二八事件受難遺族に生まれたという出身背景から分かるように、政治意識としては明確に泛緑陣営に立っている。入獄した陳水扁の支持者でもあるし、昨年12月に東京で講演した折には李登輝へのシンパシーを語っている。なお、この東京講演の時点ではまだ立候補の正式表明はしていないのだが、日本の選挙でよく見かける片目が空白のダルマを贈られている。
他方で、泛藍陣営と泛緑陣営の対立構造がすでにマンネリ化して、政治的争点を効果的に汲み上げられなくなっていることに対して国民の不満も根強い。柯文哲は国民党だけでなく民進党も含め、既存政治すべてに対して歯に衣着せぬ発言をしているため、そこが一般の人々からは受けているらしい。
2011年に台湾大学病院でエイズ感染者の臓器を誤って移植してしまう事件が起こったとき、柯文哲も監督責任を問われた。ところが、行政も含めたシステム全体の問題を一方的に押し付けられたことに対し彼は臆せず発言したため注目を浴びたという。いずれにせよ、既存の政治社会システムに対する不信感を彼が代弁しているとみなされているのだろう。
■最大野党・民進党も支援に
こうした動向を民進党もかなり意識している。現在の党主席・蘇貞昌(スー・ジェンチャン)は独自候補擁立にこだわっていたが、かつて総統選挙に立候補した経験のある有力者、蔡英文(ツァイ・インウェン)や謝長廷(シエ・チャンティン)が柯文哲を支持する意向を表明し、蘇貞昌も「柯文哲現象」を無視できなくなっている。民進党は必ずしも一枚岩の政党ではなく、有力政治家同士の足の引っ張り合いも頻繁に見られるから、そうした党内パワー・バランスの影響があるのかもしれない。いずれにせよ、柯文哲に対して民進党への入党を条件に正式な候補者とするという話も出たが、無所属のまま民進党は支援するという方向で落ち着きそうだ。
台北市長は任期4年、再選は1度までしか認められていないため、現職の●龍斌(ハオ・ロンビン、●=赤におおざと)は出馬できない。国民党から出る対立候補としては連勝文(リエン・ションウェン)の名前が取り沙汰されている。連戦(リエン・ジャン)元副総統の息子というサラブレッドである。そう言えば、●龍斌も●柏村・元行政院長の息子という世襲政治家だ。「政治素人」柯文哲の存在がいっそう引き立つ。なお、2010年に連勝文が銃撃されて負傷するという事件が起こったが、その時に救急外科医として対応したのが柯文哲だったという因縁もある。
■柯文哲の勝算は?
柯文哲に勝ち目はあるのだろうか?台北市長選挙の動向について考えてみるが、過去のデータや分析については小笠原欣幸(東京外国語大学、台湾政治)「2010年台北・新北市長選挙の考察―台湾北部二大都市の選挙政治」を参照させていただく。
台湾の選挙では北部は国民党が強く、南部は民進党が強いという色分けがくっきりと出る。台北市に関しても、(1)外省人及びその第二世代、第三世代の比率が高い。(2)公務員・軍・教育関係者の比率が高い。(3)1人当たりの平均所得が高い、という特徴がある。こうしたことから、国民党は台北市で固い基礎票を持っており、民進党はもともと劣勢だと指摘される。
1994年に陳水扁が当選できたのは、当時の李登輝総統に反発して国民党を離党した人々が結成した「新党」が独自候補者を擁立し、泛藍陣営が分裂していたからである。この時以外は国民党の候補(馬英九、●龍斌)が50%以上の得票で当選しており、陳水扁は二期目を阻まれ、民進党から出馬した謝長廷(2006年)や蘇貞昌(2010年)といった有力政治家も敗れている。
上記の小笠原論文では藍緑両陣営の基礎票を捉える指標として台北市議員選挙の得票率について考察されている。1994年から2010年にかけての両陣営の得票率の推移を見ると、泛藍陣営は低下傾向(60.8→54.8%)にある一方、泛緑陣営は増加傾向(30.1→39.0%)にある。トレンドとして見ると、基礎票のレベルで両者の差は徐々に縮まりつつあるようだ。
となれば、こうした基礎票を固めつつ、浮動票を取り込む戦術を効果的に実施することができれば、民進党系の候補者にも可能性がないわけでもない。その点、柯文哲の場合には「素人」という世論受けする持ち味が武器になる。
いずれにせよ、台北市長選挙はまだまだ先のことで、情勢も色々と変化するだろう。柯文哲の勝敗はともかくとして、彼の得票率には藍緑両陣営に飽き足らぬ無党派層の投票行動が反映されることになるように思われる。そこから、台湾における政治社会の一定の変化を垣間見ることができるのかもしれない。