地球温暖化で氷河が解けて海面が上昇する現象と、地球の自転が遅くなる現象との相関関係を指摘した論文を、米ハーバード大学の研究チームが発表した。
研究チームを率いる同大のジェリー・ミトロビカ教授によれば、氷河から解けた水が北極や南極から離れると、アイススケートの選手が両腕を伸ばしたような状態になって、地球の自転が遅くなる。
自転速度が低下するペースは1日当たり1ミリ秒(1000分の1秒)。世界の海面は20世紀の間に推定1ミリ~1.5ミリ上昇したとされ、その影響と、自転速度低下のペースがちょうど一致することが分かったという。
これで地球温暖化が地球の自転に与える影響が裏付けられたと同氏は解説する。
この現象を巡っては、海洋学者のウォルター・ムンク氏が2002年の論文で、地球の自転速度の低下と、20世紀の海面上昇に関する定説の間の矛盾を指摘していた。
しかしミトロビカ教授は、ムンク氏のモデルには誤りがあったとしたうえで、新しいモデルを使うなどして自転速度の変化と海面の変化の推定値が正確に一致することを示した。
地球の自転にはさまざまな要因が影響している。米航空宇宙局(NASA)によれば、2011年の東日本大震災で1日の長さが180万分の1秒だけ短くなったとされる。