■「じゅん散歩」テレビ朝日、月~金曜午前9時55分
地井武男、加山雄三に次ぐテレビ朝日の3代目散歩人。自他ともに認める「テキトー男」が、今日も街を行く-。
「気をつけているのは、ロケに遅刻しないことかな。あと、とりあえず私服は着てこないとね。裸じゃ困るからね」
同行取材したロケでも、絶えず冗談を飛ばして笑顔を振りまく。通行人に続々と声をかけられ、気さくに応じるサービス精神に舌を巻いた。
「体調は、普通に疲れてますよ。大体、1週間分の収録で1万4、5千歩くらいは歩く。家に帰ると、バタンキューだね」
弱音をはいてみせるが、収録は毎回、楽しみで仕方がないようだ。もっとも、ただふざけているだけではない。外国の車や音楽、ファッションなど、街の人々と交流する中で豊富な雑学が披露されることも多く、その博識ぶりにも驚かされる。
「俺からエロをとったら知識しか残らないからね」。そう笑いつつ、「普段、これほど街を散歩することはないから、勉強になるよね」と、街の新たな魅力をかみしめている。
これまでは東京近郊を散歩してきたが、今年の最終週となる28、29、30日の放送では、山梨県の富士吉田や忍野八海、河口湖を訪問。天気にも恵まれ、豊かな自然を眺めながらの散策を満喫したようだ。
「収録前日、スタッフと『どうか晴れてくれ』って祈りながら、酒を飲んで焼き肉を食べたかいがあったね。その後、カラオケで1曲歌って、また晴れることを祈ってね」
テキトーなようで、鋭い洞察力とトーク力を持った聞き上手でもある。取材日も、通行人の意外な仕事内容や家族の事情を聴き出すなど、一級の取材力を見せつけていた。
「人の懐に入るのがうまいから、懐のお金を盗んで帰ってくるの」とジョークを飛ばしつつ、「十人十色とはよく言ったもの。小さなお店で頑張っているとか、昔、苦労したとか、一人一人、人に歴史ありだね」と、かみしめるように語る。
「あとは散歩を芸術まで高められるかどうか…」。そうつぶやいたタレントが、“散歩道”を極めていくのを見守りたい。(三品貴志)
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〈たかだ・じゅんじ〉昭和22年生まれ。東京都出身。52年、劇団東京乾電池に参加。55年、フジテレビ「笑ってる場合ですよ!」で初レギュラー。「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で名をはせ、ドラマやバラエティー番組などで活躍。現在、BS12トゥエルビの「高田純次のセカイぷらぷら」にも出演中。