在英のシリア人権監視団とシリア国営メディアは25日、シリア政府と戦う有力な反体制派組織の司令官が首都ダマスカス郊外の空爆で死亡したと伝えた。シリア国営メディアは、この攻撃がシリア軍による作戦だったと伝えた。
死亡したのは反体制派組織「ジャイシュ・アル・イスラム」のザハラン・アルーシ司令官で、同組織もアルーシ司令官がダマスカス郊外のゴウタ東部で死亡したと確認した。シリア人権監視団によると、同司令官と幹部4人が24日、会議を開いていたところを戦闘機により爆撃されたという。
同組織は、空爆を行ったのがシリア軍かロシア軍機かは不明としている。一方、シリア国営通信のSANAはシリア軍による特殊作戦だったと伝え、空爆時のものとする空撮映像を放映。「テロリストであるアルーシが、テロリストの潜伏場所への空爆で死亡した」として殺害を称賛した。
同組織はアブ・ホマム・エサム・ブーダニ新司令官を選出した。
死亡したアルーシ司令官はイスラム教厳格派のサラフィー主義の活動家で、一時収監されたものの、2011年に出所すると、アサド政権の転覆を目指し反体制派の部隊を創設した。
同組織は12年、ダマスカスの国家安全保障本部を爆破し、多くの政府高官を殺害したことで知られるようになり、アルーシ司令官もシリアで最も影響力のある反体制派リーダーとして、最重要の指名手配犯となった。
過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」がシリアの一部地域を制圧すると、同司令官の組織はこれに対抗し、ダマスカス郊外で勢力を拡大。今年初め、ISISの捕虜を処刑する映像も公開していた。
アルーシ司令官は長年、サウジアラビアのサラフィー主義の支援者から資金援助を受けていると目されてきた。同組織は数千人の戦闘員を擁し、今月初めには、サウジアラビアのリヤドで行われたシリア和平協議の準備会議に出席している。