「天井の水漏れが嫌な臭い」と通報 上の階の住人、死亡していた
台湾東森テレビ局の公式ウェブサイトの報道によると、新北市鶯歌区に住む女性、江さんは浴室の天井からの水漏れに悩まされていた。最近、浴室の天井から漏れてくる水が「透明無臭」から「赤っぽい悪臭」に変わったことに気付き、水道管にネズミでも詰まったのかと思い、通報。警察が調べると上の階に住む男性が死亡していたことが分かった。
警察当局によると死亡していたのは39歳の男性で、4年前に離婚し、父親、子どもと暮らしていた。しかし暴力をふるうことがあり、酒浸りだったため子どもは今年初めから母親と暮らすようになり、父親も先週、息子と口げんかをして家から追い出されたという。
江さんが4日午前、浴室で歯を磨いていると床に赤っぽい水が垂れていた。水道管にネズミの死骸でも詰まったのかと思ったが、自分で確認するのが怖かったため、警察に通報。警察は上の階から異臭がするのを確認し、合鍵を使って部屋に入ると、男性が全裸で台所にうつぶせに倒れていた。全身が黒ずみ、液体が周辺にたまっていたという。遺体には外傷はなく、肝硬変を患っていた男性が病気のため急死したとみられる。
違法食品添加物事件が海外波及―食の安全に揺れる台湾
屋台などで人気のタピオカミルクティーのタピオカなどもやり玉にあがった(吉村剛史撮影)(写真:産経新聞)
戦後、蒋介石とともに中国大陸全土の料理が渡来し、グルメファンを魅了してやまない台湾だが、露店街で人気のビーフンなどの麺類、日本同様に台湾のコンビニエンスストアでは定番となっているおでんの練り物などに、違法な食品添加物が使用されていたことがわかり、台湾当局が「食品衛生管理法」の強化に乗り出した。昨年は海外から700万人の旅行客が訪れた台湾だけに「イメージダウン」「観光産業に影響する」との危惧も広まっている。
■拡大した毒でんぷん騒動
騒ぎの発端は5月13日。台湾の行政院衛生署(厚労省に相当)の食品薬物管理局の発表だった。
同局が、寄せられた情報をもとに市中の食品などを検査したところ、認可されていない無水マレイン酸を加えたでんぷんを使用した製品が出回っていたことが判明した。
同酸は本来は食品の包装用紙などに使用される化学原料。これを加えたでんぷんを使用した場合、食品にもちもちとした食感を加えることができるという。
急性毒性は低く、少量の摂取では、ただちに健康被害は生じないものの、大量に摂取した場合、腎臓機能に障害を引き起こすおそれがある。
この発表を受け、台湾各地の当局による製品や原料の回収が始まったが、タピオカミルクティー(珍珠●(=女へんに乃)茶)のタピオカ、芋団子といったスイーツをはじめ、肉団子、餃子などの点心など、大量の市販商品に使用されていたことが相次いで発覚。
5月27日には問題となったでんぷん約230トンの廃棄処分も発表されたが、その後、別の工業用添加物や期限切れの凝固剤、防腐剤などの使用が、ロングセラーのプリンや寒天、アイスミルクなどでも浮上し、「毒澱粉(でんぷん)」の余波は拡大。
商品の撤去に次ぐ撤去で、コンビニエンスストアの棚が一時ガラガラとなった。
■罰則強化の中、世界に波及
「美食で知られている台湾のイメージダウン」「観光客が夜市(夜店)で食べ物を買わなくなる」との懸念も拡大する中、事態を重視した馬英九総統は29日、行政院に海外メディア向け記者会見を指示。
関連する製品や業者の情報、商品の流通状況などを公表させるとともに、食品衛生管理法の強化などを求めた。
事実31日には、食品の検査管理や、違反者への罰則強化が盛り込まれた同法の修正草案を立法院(国会に相当)で通過させ、認証審査機関を通じ、6月1日以降は業者、店舗向けの安全証明書を発行させるなど、当局は善処に前向きな姿勢の強調に追われた。
だが、シンガポールやマレーシアでも台湾から輸入した製品から相次いで違法食品添加物が検出され、禁輸措置がとられるなど影響はたちまち海外に波及。
6月に入ると香港では当局の指導で台湾製の麺類が自主的に撤去され、また4日には日本の横浜市の輸入業者が台湾から約3トンもの「毒でんぷん」を購入した可能性が浮上。
台湾同様に日本でも食品衛生法に抵触するため、業者が自主回収に追われる騒ぎの中、台湾の外交部(外務省)は、台北で各国出先機関に対し説明会を開いて、信頼回復にかける姿勢をアピールした。
■経済的影響か
「食管局 隠匿毒澱粉三個月」
台湾の週刊誌「壱週刊」6月6日号は、無水マレイン酸を加えた「毒でんぷん」の情報を、衛生署食品薬物管理局が2月に得て、3月に実際に商品から検出していたことを暴いた。
情報のキャッチから5月13日まで公表されなかったことに関し、隠蔽疑惑を報じたかっこうだが、同局では公表の遅れについて、誤検出の可能性もあったため、調査に時間がかかったとし、「隠匿(隠蔽)」ではないと反論している。
行政院主計総処が5日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0・74%上昇の102・24で、上昇幅としては昨年3月以来の最低となった。 台湾の有力紙、自由時報(6日付)は、なかでも外食の上昇幅が2011年8月以来最低の1・66%増だったことに対し、「毒でんぷん」事件が消費などに心理的影響を与えた、と分析し、経済的影響が生じている可能性を指摘している。
公共事業の対GDP比率、10年ぶり低水準[経済]
行政院公共工程委員会(工程会)の陳振川主任委員は6日、経済のけん引役と見られる公共事業の対域内総生産(GDP)比率が今年は2.66%で、10年ぶりの低水準にとどまることを明らかにした。陳主任委員は「これ以上低くなると、経済危機や社会問題を引き起こしかねない」と述べ、強い懸念を示した。
7日付工商時報によると、今年の公共事業予算は3,797億台湾元(約1兆2,233億円)。一般公共事業の他、治水特別予算、政府系事業、学校、病院など非営利基金による投資事業が含まれる。対GDP比率は2.66%で、過去20年間の世界平均の10%、中国の22%、米国の5%、日本の6%、韓国の9%に比べてもはるかに低い。
政府の総予算に占める割合は、社会福祉関連予算の22.2%に対し、公共事業は20%。一般政府予算に占める割合だと9%に下がる。陳主任委員は「これ以上、公共事業重要性を無視するなら、経済振興に深刻な影響を及ぼす上、現場労働者の失業率上昇をもたらす。公共事業予算は削らない方が良い」と語った。
一方で陳主任委員は、財政支出が後世の重い負担とならないよう、公共施設の利用者負担原則を実行するよう提案。また、公共施設建設の用地取得費用が、2012年9月1日から市場価格に基づくように決まったことで、政府の負担を重くしていると指摘し見直しを求めた。
陳主任委員は、公共施設の使用者負担原則に絡み、道路、橋、通信施設、水力発電施設など公共施設は、維持や建て替えが必要だが、台湾の料金徴収体系が合理性を欠くため、インフラ施設の品質に影響を与えているなどと指摘。料金徴収を合理的な内容に改めるよう呼び掛けた。