インドのモディ首相は25日、パキスタンを予告なしで訪れ、同国のシャリフ首相と会談した。冷え込んでいた印パ関係が改善に向かっていることの重要な兆候だ。インド首相によるパキスタン訪問は12年ぶり。
モディ首相は訪問先のアフガニスタンからの帰途、インド・ニューデリーに向かう途中でパキスタン東部ラホールの空港に到着。空港でシャリフ首相らの出迎えを受けた。
モディ首相とシャリフ首相は、ラホール近郊のレイウィンドにあるシャリフ家の邸宅で会談した。パキスタンのチョードリー外務次官によると、対話の再開や両国の民間交流の促進について話し合ったという。パキスタンでの滞在時間は2時間だった。
パキスタン外務省は声明で、「双方のリーダーは両国の人々の利益に資するため、対話のプロセスを続けていく意向を示した」と発表。2国間の接触を継続し、これを強化していくことで合意したと述べた。
一方、モディ首相はツイッターで、「シャリフ家の自宅で温かい夕べを過ごした」と述べたほか、シャリフ首相が空港まで迎えに来たことに「感動した」と述べた。
チョードリー外務次官によると、今回の訪問は、モディ首相がシャリフ首相に電話で、パキスタンに立ち寄りたいと伝えたことがきっかけとなった。シャリフ首相は当時、たまたまラホールに滞在していた。訪問は和やかなものだったとしている。
インドの首相がパキスタンを訪れるのは12年ぶりで、当時のバジパイ首相が2004年、南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議に参加し、パキスタンのムシャラフ大統領(当時)と会談して以来。
印パ関係をめぐっては、国境間で砲撃を交える事態が相次ぎ、双方が相手方に責任があると主張するなど、険悪化していた。またインドは、同国内で今年起きたテロ襲撃事件の背後にパキスタン人戦闘員がいると主張。パキスタン側はこれを否定していた。
一方、双方による話合いは断続的に続いており、両国の国家安全保障担当者はこのほど、タイのバンコクで会談。またインドのスワラジ外相が今月、パキスタンの首都イスラマバードを訪問するなど、さらなる関係改善に向けた機運が高まっていた。