南シナ海・南沙諸島のフィリピンが実効支配するパガサ島に26日、同国の学生ら約50人が上陸した。フィリピン当局者が27日に明らかにした。
学生らは中国がこの海域での活動をフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内まで拡大させていることに抗議するため島に上陸したという。島には3日間滞在する予定。
中国は資源が豊富な南シナ海のほぼ全域にわたる領海を主張しており、近隣諸国と対立している。
南シナ海には、フィリピン以外にも、ブルネイ、マレーシア、台湾、ベトナムが領海として主張する海域がある。
BBC記者、南沙諸島の人工島に上空から接近 中国海軍は警告を
中国が人口島の建設や海軍艦船による巡回で領有権の主張を強めるなか、緊張は過去1年間高まってきた。米国やオーストラリアも「航行の自由」を示す行動を実施している。
BBCは今月、中国が岩礁を埋め立て人口島を建設する様子を近くから撮影しているが、民間機に乗って人口島に近づいた際には中国海軍の警告を何度も受けた。
パガサ島に上陸したグル―プは今回の行動を「愛国的な」旅だとしており、中国に対抗する象徴的な行為だと説明している。
フィリピン政府は学生らの意図に理解を示しつつも、安全面で懸念があるとして抗議活動そのものには反対だと述べた。グループは小島であるパガサ島に到達するため約500キロを航行している。
フィリピンは中国の活動が国際法に違反するとして、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴している。フィリピンは中国が領有権を主張する領域を示す「九段線」は、両国とも署名済みの国連海洋法条約に違反していると主張している。