中国メディア・南方週末は27日、ハードルの低さや経済的負担の少なさから韓国の大学に留学する中国人学生が多い一方で、韓国人の中国人に対する偏見の強さから留学生の多くが「韓国や韓国企業では働きたくない」と語っているとする記事を掲載した。
記事は、韓国に留学して嫌な思いを経験した中国人女性が韓国人を「自意識が強く、性急」と評したほか、「美人ですね、中国人じゃないみたい。韓国人みたい」と言われて傷ついたエピソードを明かしたと紹介。また、両親が韓国語を話せるという朝鮮族の中国人学生も「韓国人学生と最初は楽しく話していたのに、自分が中国人だというと突然話してくれなくなり、無視されるようになった」と語ったことを伝えた。
そして、韓国に留学する中国人学生の見解として、韓国人は中国人について「自己中心的で、他人の気持ちを考えない」、「やることが遅く、老人のよう」、「不潔」という3つの凝り固まった偏見を抱いていると説明。話を聞いた多くの中国人留学生が「卒業後、韓国や韓国企業で働きたくない」と答えたとした。
一方で、韓国留学が「お手軽」ゆえに中国人留学生の質も「玉石混交」状態であり、まじめに勉学に取り組まない学生もいるとの声が韓国人学生から出ていることを併せて紹介した。また、「外国に行ったことがなく、中国に対する理解が乏しい韓国人学生が、とりわけ中国人学生に対する偏見を持っている」とする中国人留学生の感想を取り上げたうえで、「両国民がほんとうに相互理解をするには、まだまだ長い道のりが必要だ」と結んだ。
不景気ムードが漂う今の韓国が経済成長を実現するには、中国との関係強化が不可欠な状況だ。中国経済なしには韓国経済は立ち行かないとの声がある。一方で、韓国国内での中国人への扱いに対する評判は決していいものではないようだ。それは、中国人留学生の声だけでなく、中国人観光客による声でもある。韓国メディアが以前「中国人観光客がリピーターにならない」と報じたことが中国国内でも伝えらえたが、その一因には中国人観光客に対する「雑な扱い」があった。
観光はもちろんだが、留学にもビジネス的な要素がある。「客」である留学生を受け入れて満足させる体制が取れていなければ、「客」は離れていくことになる。企業や大学だけではなく、市民レベルで中国人に対する偏見を取り除いていかないことには、「もう韓国には行きたくない」という中国人観光客や留学生の声は小さくならないだろう。一方で「客」である中国人側も、モラルやマナーを意識して、「同胞」のイメージを向上させる努力が必要だ。