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アフガニスタンほかに派遣された経験豊かな英海軍のスナイパーが「173名のキル数をカウント」と大きく報じられたのは1年ほど前のこと。やはりイギリス軍には凄腕の狙撃手が揃っているのであろう。イラクから興味深いニュースが飛び出したもようだ。
英メディア『dailystar.co.uk』が、ここまで長いこと過激派組織IS(イスラム国)が暗躍していたイラク・アンバル州のラマーディにおいて、英陸軍・狙撃チームのアドバイザーであった一人の凄腕スナイパーが大きな活躍を遂げた話題を伝えている。
彼は英陸軍の特殊部隊である「特殊空挺部隊(SAS)」の2等軍曹(テロリストらに命を狙われかねないため氏名は明かされず)。使用した銃はセミオートマティック式口径50BMGのスナイパーライフル“Barrett Light 50”。命中すれば建造物、軽装甲の車両、航空機、軍用ヘリコプター等をも破壊する力を持っており、最大射程はなんと1,800mだという。
IS部隊はイラク軍をターゲットにした自爆テロ攻撃などの司令塔として、ラマーディにあるコンクリート造りの2階建家屋を使用していた。しかしそこには“人間の盾”として多数の民間人が集められていたため、空爆やロケット弾による攻撃は困難であった。しかし“既存の考えにとらわれず創意工夫を”をモットーとしているSASのこと、その2等軍曹が「壁越しに狙撃を成功させる」と名乗りをあげたという。
こうして彼は約1,000m離れた別の建物に身をひそめてライフルを構え、3名の隊員がマガジン(弾倉)を6つも用意してそれをサポート。しかし見事な腕を持つそのスナイパーが放った銃弾は、直線的なラインを描いて一発目にしてISの司令塔の壁の一部を破壊させた。さらに狙撃は続き、3名のIS戦闘員の死亡を確認。約20人の民間人がそこから解放されたという。なお建物内にはテロ計画の情報となる多数の地図や通信機器が存在したそうだ。
そして先月28日、イラクのアバディ首相はラマーディを約7か月ぶりにISから奪還したことを発表していた。SASの隊員らは今、「やはりSASのクラシカルなやり方が一番確実だ」と任務への誇りを再認識したもよう。ISに対する闘志、戦意をさらに奮いたたせているという。