中国人観光客による「爆買い」現象が日本企業のビジネス習慣をひっそりと変えつつある。日本の消費文化は地味かつ質素重視の傾向にあり、真紅や金銀などまばゆい派手さを取り入れた商品デザインは比較的少ない。だが、「金ぴか好き」という中国人の嗜好に合わせるため、日本企業の売り方に次第に変化が生じつつある。その3大ポイントは、「豪華さ最優先」「縁起の良い商品価格」「セット販売」だ。環球時報が伝えた。
多くの訪日観光客が日本でショッピングに精を出す理由は「質の良い商品が安く買える」こと。だが、日本企業は顧客ターゲットをより高級な逸品を望む「土豪(田舎くさい金持ち)に絞った。今年の元旦、ある企業は「純金茶道具福袋」を販売した。この茶道具は急須や湯飲みなど一式が全て純金製の手作りで、販売価格はなんと2億円、1人1セットの限定販売だった。サンゴ漁問題で争いが絶えない日中両国だが、別の日本企業は「珊瑚指輪福袋」を売り出した。指輪には直径23.5ミリメートルの赤サンゴが埋め込まれており、販売価格は1200万円とゴージャスこの上ない。
日本製品はこれまでずっと「精微な美しさ」で讃えられていたが、中国人の「金ぴか好き」に応えるため、「豪華さ」を宣伝文句にするだけではなく、価格面でも思い切った作戦に出た。大阪の企業は販売価格888万8888円の「8カラットダイヤモンド福袋」を販売した。カラット数も価格も数字の「8」ばかりである理由について、同社の森田勉社長は「その理由はいたってシンプルです。中国の人々が『8』という数字を好むからです」と説明した。
「セット販売」も日本企業の販売スタイルにおける一大変化といえる。中国人観光客の間で人気が高い「馬油」「酵素」「龍角散」などの商品をそれぞれ10個1組にして、大きな袋に入れて販売したのだ。店員は「中国のお客様が人気商品を1個や2個だけ買うケースは極めて少ない。自分で使う、あるいは友人などにプレゼントするために、同一商品を多数購入するのが普通で、10個セットの袋で販売すれば精算がスムーズで、持ち運びにも便利だ」と話した。「セット販売」は中国人観光客に特有の需要から生まれた販売方法といえよう。
新宿や銀座などの繁華街に店を構える多くの店舗では、店のディスプレイがますます「中国化」している。たとえば、1階の目立つ場所には、中国人観光客に人気の商品がディスプレイされており、中国語を話す店員の配置や免税カウンターなどのサービスも増やしている。年間を通じて中国人客の利用が多いホテルでは、朝食のメニューに豆乳やお粥などを追加している。