ドイツ西部のケルンで大みそかの12月31日に性的暴行や強盗の被害が多発していた事件で、ドイツ内務省は8日、容疑者31人の身元を特定し、うち18人が亡命希望者だったことを発表した。
ドイツ内務省によると、容疑者の内訳はアルジェリア人9人、モロッコ人8人、イラン人5人、シリア人4人、ドイツ人2人のほか、イラク人、セルビア人、米国人が各1人。
ケルン市警の報道官は同市警のトップが8日、解任されたことを確認した。この事件をめぐる組織の対応が批判されていた。
ケルンで被害に遭った女性の一人は、警察に駆け込んだものの、警官の数が足りず、取り合ってもらえなかったと主張。一方、独誌シュピーゲルは、男らが集団で警官が被害者に近寄るのを妨害していたと報じている。
ケルン警察の報道官は8日、記者団に対し、今回の一連の襲撃をめぐり170件の刑事告発があり、「うち少なくとも120件が性暴力の関係だ」と述べた。
大みそかには北部のハンブルクなどドイツ国内各地のほか、欧州の他の都市でも同様の事件が起きた。
スウェーデン南東のカルマルの警察は8日、難民とされアラビア語とクルド語しか話さない男2人を逮捕。警察の報道官によると、性的嫌がらせの被害11件が12月31日、報告された。このうちの2件について、男らが関与した疑いが持たれているという。
このほかにもオーストリアのザルツブルク、スイスのチューリッヒ、フィンランドのヘルシンキでも、難民らによるとみられる性的暴行などの被害が報告されている。
ドイツでは当局やメディアに対し、大みそかの襲撃についてもっと早く公にするべきだったとの批判が上がっており、反移民感情も高まるなど、シリアやイラクから来た難民を受け入れる姿勢を示している独メルケル首相は課題を突きつけられた形だ。
ドイツのハイコ・マース法相は7日、難民申請希望者がこうした犯罪を犯していれば、国外追放となる可能性があるとの見方を示していた。