富士山の斜面に残った雪が鳥の形に見える「農鳥(のうとり)」が、暖冬の影響で例年より約4カ月も早く姿を現しつつある。農鳥が見られる山梨県側では今月4日には現れ始めたという。
農鳥は毎年4月下旬から5月中旬ごろ、標高約3千メートルの富士山7、8合目付近に現れる。地元では田植えの準備を始める時期を知らせる初夏の風物詩として知られている。
甲府地方気象台によると、昨年12月の平均気温は甲府市で7・5度(平年12月5・0度)、山梨県富士河口湖町で4・4度(同2・0度)で、統計開始以降、12月の最高を更新。昨年から地球規模で平年より気温が高い状態が続き、日本でも暖冬になっている。
同県富士吉田市では農鳥が現れると毎年、「農鳥宣言」を出すが、担当者は「この時期に現れるのは珍しい。暖冬の影響だろうが、まだ早過ぎて宣言は出せない」と困惑している。