台湾の鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)会長は、経営難のシャープ経営陣と大阪の本社で30日に面会し、約6600億円に増額した買収提案を説明する。事情に詳しい関係者が明らかにした。
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同提案は産業革新機構の案に対抗するもので、シャープの経営権を掌握する目的の約3900億円の新株購入などからなるという。同関係者は情報が非公開であることを理由に匿名で明らかにした。ほかに約2250億円が主にシャープの主要取引行から買い取る優先株購入に充てられ、450億円が不動産資産の買い取りに使われる予定だという。
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シャープは再建案をめぐって鴻海と産業革新機構と協議している。鴻海案が金額こそ上回るが、シャープは自社技術の海外流出を防ぎ、国内企業との関係を維持しやすい機構案に傾いていると、事情に詳しい複数の関係者がこれまでに明らかにしている。
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鴻海案では既存の株主から株式を買い上げることはしないが、持ち分は希薄化する。鴻海の郭会長は今週、自社案をシャープの主要取引2行と政府関係者に直接説明するため来日中。
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機構案ではシャープに約3000億円を投資する可能性があると関係者の話により明らかになっている。同案では銀行が保有する優先株は無償で譲渡されると、日経新聞が取材源を明示せずに報じている。
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30日付の日経新聞は、機構が29日に開いた会合でシャープへの3000億円規模の出資など支援策をまとめ、シャープも受け入れる方針だと報じた。シャープ広報担当の関喜文氏はブルームバーグによる電話での問い合わせに対し、「液晶事業の構造改革などについては複数社と協議を継続している。個別の協議の内容についてはコメントを控える」と回答した。