(国連のデミストゥラ・シリア担当特使)
(シリアの元首相で現在は反政府勢力を率いるリヤド・ヒジャブ氏)
国連の主導によるシリア和平協議は29日、スイス・ジュネーブで数日遅れで開始した。政治的解決が模索される中、紛争の当事者間で協議が行われるのは過去2年間で初めて。ただ、協議に参加する交渉団の正確な顔ぶれは依然わかっていない。
国連のデミストゥラ・シリア担当特使は同日、シリア政府の「実質的な」代表団と会談したことを明かした。この日の会談は本格的な交渉に向けた準備だとしている。関係筋によると、シリアのジャファリ国連大使に率いられた代表団がデミストゥラ特使と面会した。ムアレム外相の参加は予定されていないという。
実質的な協議は、反体制派の主要組織「高等交渉委員会」(HNC)がジュネーブに到着するのを待ってから始まる見込み。デミストゥラ特使はHNCについて、31日か来月1日以降に到着する予定だと語った。
HNCは29日、CNNの取材に対し、和平協議に参加すると表明。国連チームとの交渉を通じ、シリア政府の本気度を見極めるのが参加を決めた狙いだとしている。
HNCは先に、アサド政権が拠点包囲を解除し民間人への攻撃をやめない限り、和平協議への参加を見送ると示唆していた。HNCのリヤド・ヒジャブ代表はこうした点について、国連の返答を待っている状況だと説明。包囲解除などの原則について交渉の余地はなく、議論や妥協は不可能だとデミストゥラ特使に伝えたという。
デミストゥラ特使は、反体制派支配地域の包囲解除などの要求にアサド政権が応じるか否かに関わらず協議に参加するよう、反体制派に呼びかけていた。
協議では、アサド政権側と反政府勢力は直接交渉せず、デミストゥラ特使が双方と面会して話を進める予定だ。
米国のケリー国務長官は声明で、HNCの参加決定を称賛。「米国はさらに、今回の交渉に関わる双方が誠意を見せて協議に臨み、今後数日で目に見える早期の成果を上げることを期待する」と述べた。