ミャンマーは1日に召集される議会で、ノーベル平和賞受賞者のアウンサンスーチー党首率いる国民民主連盟(NLD)政権が誕生し、スーチー氏が長年の念願を果たして政権のトップに立つ。
NLDは26年前の1990年に行われた選挙で圧勝しながらこの時の選挙結果は無効とされ、2015年の総選挙で再びNLDが圧勝した。
テインセイン大統領は1月29日、「国の平和と発展のため、次の政権に協力する」と表明していた。
スーチー氏はヤンゴンで長年の間自宅軟禁状態に置かれ、2011年3月に解放が実現した。
テインセイン大統領の下、ミャンマーは開放政策に転じ、スーチー氏など政治犯の釈放やメディア統制の緩和、少数民族武装勢力との和平交渉が進展。各国の制裁が解除され、貿易への門戸が開かれた。
ただし軍政下でスーチー氏を念頭に起草されたと思われる憲法では、外国籍の子どもを持つ人物が大統領になることを禁じている。このため息子が2人とも英国籍を持つスーチー氏は、NLD党首でありながら大統領になることはできない。
スーチー氏は総選挙を前に、もしNLDが勝利すれば、自分は「大統領を超える」存在になると明言していた。NLDが誰を大統領に推すかはまだ不明。
議会は上下両院ともNLDが安定多数を確保しているものの、議席の25%は軍が握っていることから、憲法改正に向けた与党の権限は制約を受ける。
支持者はスーチー党首率いるNLD政権の下で人権の向上や個人の自由の抑圧からの解放が進むことを期待する。
ただ、少数民族ロヒンギャ族への対応などでは課題も残る。ロヒンギャ族はミャンマーの市民権が認められず、就労や移動の自由は規制されて、十分な医療や教育なども受けられない状況にある。多くは人身売買業者が運航する粗末な船で脱出したり、ミャンマー国内のキャンプから出られなくなるなどして苦境に陥っている。