タイ滞在中に失踪していた中国人ジャーナリスト李新氏についてこのほど、中国当局に身柄を拘束されている可能性が浮上した。李氏の妻が証言した。
李氏は中国の著名な新聞の元編集者で、地元当局から人権活動家や非政府組織をスパイするよう圧力を受けていたという。李氏はインド、次いでタイで亡命申請しようとしていた。
李氏の妻によれば、3日に夫と話をし、「捜査に協力するために自分の意志で帰国した。外国のメディアと話してはならない」と言われたという。
これに関して、妻は電話で「(中国政府に)言わされているのは分かっている。李新が言いそうなことの正反対だ」と述べた。
李氏から妻に最後に連絡があったのは1月11日で、タイからラオスに向かう列車に乗っていたという。
昨年10月以降、反体制派の中国人がタイで失踪したり、強制送還されたのは李氏で4人目だ。この中にはスウェーデン国籍をもち、香港で中国政界のうわさ話などを専門に扱う出版社を経営する男性も含まれる。
また、香港ではこの出版社の子会社である書店の関係者4人が失踪。うち英国国籍をもつ1人は中国当局が身柄を拘束したことを認めている。
欧州連合(EU)や英国、米国は繰り返し、こうした事態に懸念を表明している。
人権団体からも、中国当局が反対勢力に対する取り締まりを国外にまで広げていると懸念の声が上がっている。
中国外務省の報道官は2日、香港の書店関係者の問題は内政問題で、外国に干渉する権利はないと述べた。また、外国の捜査当局との協力はすべて「法律と両国間の合意に従って」行われたと述べた。