(切っ先輝く国の重要文化財「安綱」)
京都市上京区の北野天満宮は、所蔵する刀剣を公開する「宝刀展」を境内の宝物殿で開催している。「鬼切丸(おにきりまる)」とも「髭切(ひげきり)」とも呼ばれる「安綱」など国の重要文化財5点と、初公開の刀剣合計40点を展示。「刀剣女子」の拝観に期待を寄せる。
天満宮は、平安時代後期以降に奉納された約80点の刀剣を所蔵している。
重文「安綱」は、刃の長さ84・4センチ、反り3・69センチ。平安時代に源満仲が作らせたと伝わる。その後、源氏の家系の足利氏、斯波氏に伝わり、天満宮には、1880(明治13)年に最上家から奉納されたという。刀剣や金工に詳しい京都国立博物館名誉館員の稲田和彦さん(77)によると、馬上で抜いて使えるように反りが深く、中心が下がった「腰反り」などの特徴から、平安時代後期の作ではないかという。
また、1927(昭和2)年に侯爵前田利為から奉納された太刀は、天満宮本殿の内陣に神刀として納められていた。反りのない直刀で、宮内庁が所有する太刀を模したといわれる。鞘の装飾も優れている。
天満宮への刀剣の奉納は、市内の神社で最も多いという。武運を祈るお社でもないのに、なぜ、学問の神様に刀剣が奉納されてきたのか。橘重十九宮司は「平清盛は、遷都した福原に、北野天満宮から分霊してまつった。弓道や農業の信仰もある。時代によって、天満宮に求めるものが移り変わってきたからではないか」と話す。
宝刀展は3月13日までの午前9時~午後4時。拝観料が必要。