民営化計画に反発する従業員のストライキに襲われているパキスタン大手「パキスタン航空(PIA)」は6日までに、ストの影響で乗客処理システムなどが麻痺(まひ)し、国内外で立ち往生している乗客の総数が把握出来ない異例の事態に直面していることを明らかにした。
5日の時点で欧州や北米で乗客約2500人が同社便に搭乗出来ないとの情報がある。被害を受けている実際の乗客数はより多数とみられている。PIAは通常、国内線や国際線で1日当たり少なくとも1万人の乗客を運んでいる。
同社幹部は5日、乗客処理関連のサーバーが機能せず、予約業務が停止されている中で予約確認済みの乗客の総数や居場所は把握していないと認めた。
PIAの運航便は今月1日以降、全て欠航となっている。この中でパキスタンや世界の同業他社に協力を求め、身動き出来ないでいる乗客の追跡や支援に努めているという。サウジアラビアのイスラム教聖地のジッダでは巡礼のパキスタン人約2000人がとどまり続けており、サウジの航空会社サウディアに大型機のボーイング747の4機の手配を要請して帰国させる準備を進めている。
欧州や北米で立ち往生している乗客の救援策ではエティハド、トルコ両航空と交渉している。
パキスタン政府は補助金に頼る赤字経営が続くPIAの一部民営化を検討しているが、労組が撤回を求めてストを決行。政府は数十年前の法律を適用してでも、PIA従業員によるスト阻止を狙っている。この中でカラチでは1日、治安部隊が放水や催涙弾でのスト排除を図り、従業員2人が死亡し、労組の怒りをさらに募らせた。