北朝鮮が7日に打ち上げ成功を宣言した人工衛星について、事実上、運用不能な状態にあるとの見方が浮上している。衛星の打ち上げには国際社会から非難が集中し、北朝鮮への制裁に慎重姿勢を示してきた中国に対する圧力も強まりつつある。
米国防当局の高官がCNNに語ったところによると、衛星は「軌道上で回転し続けている」ため、有用な機能を果たすことは不可能とみられる。
北朝鮮は過去にも1度、人工衛星を軌道に投入したが、その1基も機能を果たしているかどうかが疑問視されてきた。
国際社会は打ち上げを事実上の弾道ミサイル実験とみなし、国連安全保障理事会の緊急会合でも非難声明が採択された。
しかし、北朝鮮への投資を通して最大の影響力を持つ中国は、体制が崩壊した場合に予想される難民危機などへの懸念から、これまで北朝鮮経済を徹底的に圧迫するような制裁の実行には消極的だった。
営新華社通信は7日の論説で「制裁が目的ではない」と強調。同時に、王毅外相について「今後も戦略的な冷静さを保ち、朝鮮半島問題の解決に向けて建設的な役割を果たす」とも述べた。
米調査会社IHSの上級アナリスト、アリソン・エバンス氏は、北朝鮮には先月6日の核実験の直後にロケットを発射することで、新たな制裁の軽減を図る目的があったのではないかと指摘する。時間を置いて別々の制裁を受けるより、影響が小さく済むと考えた可能性がある。
ただエバンス氏によれば、国際社会に残された制裁措置の選択肢はいずれにしても限られている。同氏はこれまで制裁対象にされなかった分野の例として、北朝鮮当局の外貨収入源となっている出稼ぎ労働を挙げた。同時に、「現行の制裁を中国が実行すれば、それが北朝鮮にとって最大の締め付けになるはずだ」と述べた。