バービー人形にイスラム教の女性が髪を覆うためのスカーフ「ヒジャブ」をかぶせた着せ替え写真が、インターネットの画像共有サービス「インスタグラム」で人気を呼んでいる。
ナイジェリア人学生のハニーファ・アダムさん(24)が数週間前に投稿を始めた。
インスタグラム上でバービー写真のアカウントを見かけたことがきっかけだった。「そういえばヒジャブを着用したバービーは見たことがないと思い、新たなアカウントを開設して手作りの服を着せることにした」という。
アダムさんは最近、英国で薬理学の修士号を取ったばかり。ヒジャブをかぶせたバービーを「ヒジャービー」と名付け、イスラム教徒の少女が目指したいと思えるような「上品な人形」だと強調する。
「根底にあるのは私自身の宗教と文化的背景です。バービー人形の大胆な服装がいけないというわけではないけれど、イスラム教の女の子たちに新たな選択肢を示してあげたいと考えたのです」
そんなアダムさんの思いに賛同し、ヒジャービーを「購入したい」といった声が世界中から集まっている。アカウントの読者(フォロワー)は1万9400人に達した。
一方で、ヒジャブの着用は女性の「抑圧」を意味するといった批判的な声も寄せられている。アダムさんはこれに対し、「イスラム教の女性は体を覆うことを強制されると思われがちだが、私たちのほとんどは自発的に、宗教の表現として覆いを着用している。髪を覆わないイスラム教徒も多いけれど、だからといって信仰心が薄いということにはならない」と話す。
アダムさんはヒジャービーを「世界にイスラム教徒の実像を知らせ、誤解を解くための絶好の機会」ととらえている。
バービー人形のメーカー、米マテルは先月、さまざまな体形や肌の色などをそろえたバービー・シリーズを発売したばかり。画一的な痩せすぎの体形が現実離れしているとの批判に対応した。