インド南部で空から正体不明の物体が落下し、男性が死亡した。地元警察は隕石(いんせき)の落下による初の死亡事例だった可能性もあると見て調べていたが、米航空宇宙局(NASA)は10日、隕石だった可能性は小さいとの見方を明らかにした。
地元警察によると、物体は6日の日中、インド南部タミルナド州にある工科大学のキャンパスに落下して爆発し、地上に深さ約60センチのクレーターができた。
爆発の衝撃で大学構内にいた40歳のバス運転手の男性が死亡し、職員2人と学生1人も負傷して病院で手当てを受けた。バス数台にも窓ガラスが吹き飛ばされる被害が出た。
落下した物体は警察が回収してインド天体物理学研究所で調べているが、タミルナド州当局は7日、隕石の落下だったと認定し、死亡した男性の遺族に補償金を支払っていた。
しかしNASAはこの物体について、「インターネットに掲載された写真から判断した限りでは、宇宙からの物体の特徴とは一致しない。小型の隕石は地面に落下した時点で発火したり爆発したりはしない」と指摘した。
クレーターについても「少なくとも数キロの重さがある隕石でなければこれほど大きいクレーターはできない」と説明し、「宇宙からの物体である可能性は低い」との見方を示している。
もし落下したのが隕石だったとすると、隕石の落下で死者が出た史上初のケースになると指摘されていた。
2013年にはロシア上空で隕石が爆発して1000人以上が負傷したが、死者は出ていなかった。