第2次世界大戦中にナチス・ドイツのアウシュビッツ強制収容所で看守をしていた94歳の男の裁判が11日、ドイツで始まった。
起訴されたのは、ナチス親衛隊(SS)所属の看守だったラインホルト・ハニング被告。1943~44年のアウシュビッツ収容所における殺人ほう助の罪に問われており、CNNの系列局RTLによれば17万人の殺害を手助けした疑いがあるという。
ハニング被告はツイードの上着を着て出廷。裁判所関係者によれば、殺人への直接の関与については否認したという。
被告は公判に耐えられるか医師のチェックを受けた。出廷の時間は年齢を考慮して1日2時間に限定されたという。
裁判では、アウシュビッツ収容所の生存者らが証言を行う予定だ。
第2次世界大戦中のホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を巡る刑事裁判は今も相次いでいる。これは独当局が、ホロコーストに関与したナチス関係者が高齢化する中、存命中に立件しようと力を入れているからだ。
昨年7月には、「アウシュビッツの簿記係」として知られる元SS士官のオスカー・グレーニング被告が禁錮4年の判決を受けた。
また今後2~3カ月のうちに、2件の裁判の開始が予定されている。うち1つは、アウシュビッツで働いていた95歳の元医師が少なくとも3681人の殺人をほう助した罪に問われている。
ポーランド南部にあるアウシュビッツ収容所では少なくとも110万人が殺害された。その大半はユダヤ人だったが、犠牲者にはポーランド人や同性愛者、障がい者なども含まれている。