甘利明前大臣の辞任に続いて、今度は遠藤利明五輪担当相にも、お金にまつわる疑惑が浮上している。いずれも、そのキーワードは「口利き」−−。要は陳情書という形で、企業や団体などが、自分たちの都合のいいように便宜を図ってもらうために、政治家に口利きを依頼。その見返りにお金を渡す、という構図だ。
いっぽう、まったく私的な願い事をかなえるために、口利きを利用する“個人”も、じつは多いという。ある国会議員が語る。
「昔は交通違反のもみ消しだとか、就職先のあっせんなどが多かったのですが、このSNS時代にそんな口利きをしたら、すぐにネットに書かれてアウト。いまは誰もやっていないと思います。その半面、聞いてあきれるような、無茶ぶりを平気で頼む、おバカな陳情は後を絶ちませんね」
もちろん、口利きを受ける政治家がいちばん悪いのだが、それを頼む側の有権者の姿勢も大いに問題ありだ。そこで本誌は、現役国会議員3人から、これまで依頼をされたおバカな陳情を聞くことができた。
【1】結婚式で嘘のスピーチをしてほしい!
「一度も会ったことのない新郎側の父親が、私と古くからの知り合いだったことにして、披露宴の席で挨拶してほしいというお願いでした。当日、初めて会う父親とありもしない昔のエピソードや、新郎が幼少のころにその父親が苦労した話などを打ち合わせ。最後までバレずに知り合いを演じきりました(笑)」(与党A議員)
【2】アイドルグループのプレミアチケットをゲットせよ!
「たまたま私は、芸能界のコネクションがあったので、なんとか入手できました。ただ、この手の依頼はほかの議員にもけっこうあるようです。ルートがない場合は、秘書が総出で朝からチケット会社に電話をかけているそうですから」(野党B議員)
【3】『NHKのど自慢』に出演してテレビで歌いたい!
「その人は60歳を過ぎていて『一生の思い出にしたい!先生、出たいんだ!』と泣きつかれましてね(笑)。ただ、さすがにこれはNHKにお願いすることができないので、丁重にお断りしました。結局その人は、予選で落ちました」(与党C議員)
【4】パスポートを2日で発行できるように手配して!
「後援者から『娘が海外旅行に行きたいので2~3日でパスポートが取れるように手配してくれ』と、突然連絡が入りました。その後援者の娘さんは、パスポートの有効期限が失効していることに気づかず、1週間後に海外旅行を計画。だからなんとか発行してくれということでした。さすがに無理な話なので、『せめてもう数日前なら、なんとかなったんですが』と、双方が傷つかないように断りました」(与党A議員)
【5】私の油絵を国会に展示して!
「『国会内に自分の作品(絵画)を寄贈するので飾ってほしい』と頼まれました。すぐに断れないので、国会議事堂の管理部署を紹介しました。その絵は現在も飾られていません(笑)。じつは、価値があるのかないのかわからない“自称芸術家”の寄贈願いは昔から後を絶ちません。その手の依頼への対応を心得ている国会の事務方が上手に断っているみたいです」(野党B議員)
有権者がこれでは、政治家ばかりに文句は言えないか。
(女性自身)