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奴隷同然で覚醒剤を扱う場合も…脱北者が語る北朝鮮の実情

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日本に漂着した北のものと思われる船


 北朝鮮を率いる金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の暴走が止まらない。今年1月、「水爆」と称する核の実験を断行したのに続き、今月9日には事実上の長距離弾道ミサイルを発射した。核とミサイル開発に狂奔する独裁者の圧制下で、一般庶民の生活は困窮を極め、無給労働や「外貨稼ぎ」のノルマまで課されているという。脱北者が語る北の悲惨な実情-。

 国際社会からの孤立をいとわず、核・ミサイル開発への傾斜を深める正恩氏だが、現地に住む庶民の暮らしは荒廃の一途をたどっている。

 金正日政権時代に中朝国境から北を出奔し、「いまも現地の協力者から北の内情を伝え聞いている」という脱北者がこう明かす。

 「前政権に比べて食糧事情は改善するどころかますます悪化し、物価も上昇している。生活が苦しくなる一方で党のプロパガンダのための学習会が週1回から週2回に増えるなど、監視体制はより強化されている」

 住民の生活を圧迫しているのは、配給制度崩壊のほか、正日体制下の2009年に行われたデノミネーション(通貨呼称単位の変更)の影響も大きい。急激なインフレと、市場の混乱による深刻な外貨不足が発生し、市民生活を圧迫したのだ。正恩氏に実権が移ってからも経済状況が好転することはなく、逆にこれまで以上の重労働を課せられるようになったという。

 「通常の仕事の合間に『社会奉仕活動』と称する農村支援や、『社会労働』との名目での建設作業に駆り出されることが増えた。さらに外貨稼ぎのノルマも課せられるようになった。もちろんすべて対価はゼロだ」

 薬草や木の実、1人当たり2キロ分のマツタケを収穫することが求められる。正恩政権の数少ない収入源で、主に中国に輸出される。

 昨年10月以降、北海道から兵庫県にかけての日本海側では、北朝鮮船籍とみられる木造船が漂着するケースが相次いだ。

 カニなどの水産物も外貨獲得のための資金源とされており、先の脱北者は「漂着した船に乗っていた人の多くは正恩政権の命令で漁に出た北朝鮮人民だろう」とみる。

 奴隷同然の扱いを受ける北の人々はさらに危険で過酷な任務も課せられているという。

 「咸興(咸鏡南道)、平成(平安南道)、羅南(咸鏡北道)の3都市には製薬工場があるが、そこで作られるのは外国に密輸出するための覚醒剤だ。精製時には有毒ガスが出るため、健康被害が絶えない。輸出用の砂金作りも危険だ。失明や気管支系の疾患のリスクを伴う。これらの作業にも一般市民が動員される」

 独裁政権はいつまで続くか。

(ZAKZAK(夕刊フジ))




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