「新党」を結成することになった「民主党」と「維新の党」。衆院93人、参院59人の野党が3月にも誕生する。政権交代を狙える最低ラインとされる衆院勢力100人に近づき、ようやく政権交代の可能性が出てきた。だからか、「新党」誕生が決定したことで、がぜん「7・10衆参ダブル選挙」の可能性が高まっている。安倍首相はダブル選挙に打って出て、一気に新党を叩き潰すつもりらしい。
もともと、安倍首相が「年内解散」を考えていたのは間違いない。消費税率が10%にアップする来年4月以降は、景気が冷え込み、とても解散は打てないとみられているからだ。
「つい最近、若手議員が『解散はいつですか』と質問したら、安倍首相は『解散にはストーリーが必要なんだよ』と答えたといいます。いつも頭の中に“解散”の文字があり、つい心の内を漏らしてしまったのでしょう。話を伝え聞いた自民党議員は、選挙は近い、ダブル選挙もあり得ると皆、思ったといいます」(自民党事情通)
ダブル選挙の目的は、参院選を有利に戦うためだ。参院選単独では苦しくても、衆参同日選にすれば、自民党は参院選も優勢になるとみられている。過去2回行われた「ダブル選挙」で、自民党は圧勝している。
さらに、ダブル選挙は、「民維新党」を潰すことになるという。自民党関係者がこう言う。
「3月に誕生する新党が、夏の衆参ダブル選挙で敗北したら、ショックが大きくて、5年間は立ち直れないと思う。新党を叩き潰すためには、ダブル選挙をやるべきです。実際、ダブル選挙になったら、新党は選挙準備が間に合わないから、自民党は負けない。逆に、もし参院選を単独で戦い自民党が敗北したら、新党を勢いづかせてしまうし、たとえ自民党が勝利したとしても、その時は、新党は代表を新鮮な若手議員に代え、死に物狂いで衆院選を戦ってくるから、自民党は苦戦必至です」
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
「衆参ダブル選挙になる確率は、かなり高いと思います。ただし、自民党が圧勝するかどうかは疑問です。なぜなら、“民維新党”が誕生すれば、野党勢力は、バラバラに戦って惨敗した2014年の衆院選の時よりもまとまり、“反自民票”が集中するからです。ポイントは衆院選までに、“民維新党”が生活の党や社民党と一緒になれるかです。もし、野党4党がひとつになれば、惨敗することもないでしょう」
「民維新党」の誕生によって、政局は大きく動く可能性が出てきた。
(日刊ゲンダイ)