11月の米大統領選に向けた共和党の候補者討論会が25日、テキサス州で行われ、トップを走る不動産王、ドナルド・トランプ氏が追い上げを狙うマルコ・ルビオ上院議員とテッド・クルーズ上院議員から集中砲火を浴びた。追及を受けたトランプ氏が追い込まれる場面もあったが、予備選や党員集会が集中する3月1日のスーパーチューズデー前の反撃にしては「遅すぎた」との声も出ている。
ルビオ氏は不法移民問題をめぐり、「トランプ氏はポーランドからの不法移民を雇っていた」「労働者に嘘をついた」と繰り返し攻撃。トランプ氏は「38年前のことだ」と応じたが、ルビオ氏は追及を緩めず、問題を蒸し返し続けた。
米メディアによると、トランプ氏は1980年代、ポーランドからの不法移民200人から不当に安い賃金で働かされたと訴えられた。ルビオ氏は不法移民の強制送還を打ち出して支持を集めるトランプ氏が実際には不法移民を利用していたと暴露したかたちだ。
またトランプ氏は司会者から納税記録を公表していないことを追及され、「他の候補者には質問しないのか」「すべての質問が私に向けられるのか」と慌てる場面もあった。トランプ氏は討論会終了後に「討論を楽しんだ」と振り返ったが、ルビオ氏とクルーズ氏の奮闘ぶりが目立った。
候補者指名が現実味を帯びてきているトランプ氏にはメディアの間での警戒感も強い。米紙ワシントン・ポストは討論会に先立ち、25日付の社説で「トランプ氏にストップをかけるためにあらゆる手段をとるべきだ」と呼びかけた。ただ、「トランプ氏への集中砲火は遅すぎたかもしれない」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)との指摘もあり、今回の討論会がルビオ氏とクルーズ氏を浮上させるかどうかは不透明だ。