米大統領選の共和党候補指名を目指す争いで首位を走るドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が、米白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」の元最高幹部、デービッド・デューク(David Duke)氏からの支持表明を拒否しなかったことから、保守・リベラル両陣営から非難の集中砲火を浴びている。
大統領選指名争いのヤマ場となる「スーパーチューズデー(Super Tuesday)」を来月1日に控え、トランプ氏打倒をめざす共和党のライバル候補らは、民主党指名争いトップのヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官にトランプ氏が対抗できるか否かに疑問を投げかけることに躍起になっている。
そうした中、28日に米CNNテレビのニュース番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン(State of the Union)」に出演したトランプ氏は、デューク氏の支持表明について尋ねられると、同氏については何も知らないと述べ、「どの団体の話かわからない。まったく知らない団体のことを非難しろと言われても無理だ。調べてみないと」と語った。
このコメントでトランプ氏は政界から総スカンを食らう羽目となった。共和党の指名獲得を争うマルコ・ルビオ(Marco Rubio)上院議員はバージニア(Virginia)州で支持者らを前に、白人至上主義者やKKK批判を拒むトランプ氏は「間違っているだけだなく、選挙にも勝てない」と訴えた。
やはり共和党予備選候補のジョン・ケーシック(John Kasich)・オハイオ(Ohio)州知事もツイッター(Twitter)で「アメリカにヘイト(憎悪)グループの居場所はない。われわれは、結束することでより強くなる」と批判。
民主党候補のバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員は「米国初の黒人大統領の後任に、KKK非難を拒み憎悪をあおる人物が就くべきではない」と断じたツイートを投稿。ライバル候補のクリントン氏は、これをリツイート(再投稿)するという異例の協働姿勢を見せた。
トランプ氏とKKKをめぐっては昨年、ニューヨーク(New York)のクイーンズ(Queens)地区で1927年に起きたKKKメンバー約1000人と警察官約100人との衝突での逮捕者7人にトランプ氏の父親であるフレッド・トランプ(Fred Trump)氏が含まれていたとする当時の記事を、あるIT系ニュースブログが発見。
しかしトランプ氏はこの報道について、英紙デーリー・メール(Daily Mail)のインタビューで「くだらない」と否定。「父に逮捕歴はないし、その事件とも無関係だ。そんなことはまったくなかった。ばかげている」と語っている。