府南部13市町で特産品を使った甘い菓子などを製造、販売している60店を紹介した小冊子「京都やましろスイーツマップ」が1日、発刊された。龍谷大政策学部(伏見区)の学生たちが、府山城広域振興局(宇治市)の依頼を受け、取材や編集を担当。各地で見つけた魅力的な光景も記し、「散策にも便利」とPRしている。(布施勇如)
長岡京市産タケノコ入りの焼き菓子マカロン。宇治抹茶を練り込んだどら焼き。城陽市の梅を用いたソフトクリーム。和束町から仕入れたほうじ茶が香ばしいフランスパン……。掲載した商品や店舗の写真はほとんど、学生が自ら撮影した。
対象とした店は、地元の商工会議所や商工会などの推薦で、振興局がリストアップした。同学部には地域産業の活性化をテーマとする演習があり、担当の中森孝文教授(経営学)に協力を依頼。2~4年の受講生約30人がマップの製作に当たった。
スイーツをよく買う人は、何にこだわるのか――。まずは親族や友人ら223人にアンケートをし、統計的に分析。その結果、個性や店の雰囲気などが重要な要素であることを確認した。昨年9、10月に3、4人のグループで各店を調査し、「ご当地限定」「食感」「店員の態度」など17項目で評価した。
平日は授業があり、週末を中心に訪問。「甘い物を食べ過ぎて塩気が欲しくなり、ラーメン店も同じくらい回った」と、男子学生は笑って振り返る。
各店の紹介には、「京田辺に舞い降りた天使のチーズケーキ」などとうたった宣伝文句、「江戸時代から受け継がれる老舗の味」「大山崎町の特産品エゴマ(シソ科の植物)を使用したスイーツはめったにありません!」といったセールスポイントを記載した。
調査を通じ、店側の悩みや意気込みも肌で感じた。埼玉県出身の3年村上浩崇さん(21)は「『抹茶だけでは生きていけない』と問題意識を口にする経営者や、2時間半も話してくれた人もいた。印象深い経験だった」と語った。
市町別の地図に、発見も盛り込んだ。京阪八幡市駅前には「エジソンの像と竹の大きなオブジェが!」。エジソンが発明した白熱電球の材料に、八幡市の竹が使われたと学んだ。井手町の玉川沿いには「風景の写真を撮るなら絶対おすすめ」と書き添えた。
京丹後市出身の3年荒田佳那恵さん(21)は「山城地方には美しい景観や深い歴史があった。おいしい店と同時に伝えられたら」と話す。
スイーツマップはA5判、48ページ。来年3月末まで利用できる割引などの特典付きで、2万部発行。各店などで無料配布している。問い合わせは山城広域振興局(0774・21・2103)へ。