バチカン市国が発行する新聞オッセルバトーレ・ロマーノは3日までに、カトリック教会の聖職者による性的虐待事件を暴く新聞記者を描き、先に米アカデミー賞の作品賞などに輝いた映画「スポットライト 世紀のスクープ」に触れ、反カトリック教会的な作品ではないと内容を評価する立場を示した。
同紙は論説で、米紙ボストン・グローブ紙の編集部の戦いを扱った作品は、おぞましい現実に直面した忠実な信者たちの衝撃や痛切な苦痛を代弁したものと指摘。
同映画の製作者はアカデミー賞授賞式で「作品は事件の体験者の声を浮き彫りにしたもの。この声が強まり、バチカンまで響き渡る聖歌になることを願った」などと述べていた。
同紙はこの製作者の発言を前向きに受け止め、「犠牲者を守り、罪のない者の保護の基本には信仰への信頼が依然ある」と主張。前法王のベネディクト16世は法王就任前や在任中に教会内での幼児性愛に対し長期にわたって断固とした戦いを進めたと強調した。
さらに、映画「スポットライト」は「物語の一端にしか焦点を当てていないが、性的虐待を受けた後、懇願し助けを求める神も最早見出せなかった被害者の内部の荒廃を表現した」と称賛した。
バチカン市国のメディアでは、バチカン放送局も昨年10月、「スポットライト」を誠実で引き付けられる魅力がある作品と評価していた。