アフリカ南部のジンバブエ政府は10日までに、同国内のほぼ全てのダイヤモンド採掘事業を国営企業の支配下に置く方針を明らかにした。
先月には同業界の民間企業に対し事業活動の停止や施設からの撤収を命令。これに対し企業側は賠償金交渉も視野に入れ、裁判所に異議を申し立てた。
ジンバブエはダイヤ生産量で世界の上位10カ国内に入っている。同国のチダクワ鉱山・鉱業開発相によると、ダイヤ採掘関連の収入は国家の歳入総額の約3割を占める。ただ、収入額は2013年の約6億7800万米ドルが昨年は約3億ドルに激減したとしている。
同国政府はダイヤ事業の国有化について、2012年にさかのぼって鉱山運営の認可が期限切れとなっていた事実を指摘。チダクワ氏はCNNMoneyの取材に、企業側が新たに創設された国営企業ZCDCとの協力関係を拒否したことで、鉱山の閉鎖の措置を迫られたと説明した。
一方、民間のダイヤ採掘企業の幹部はZCDCの経営参加や採掘権付与などで政府が提示した条件への不満を表明。ZCDC経由で新たな鉱山開発を進めた場合、民間企業がその費用とリスクの負担を強いられることへの懸念を示した。1000万から2000万ドルまでの資金を投入するなら、大きな見返りも欲しいと主張している。
政府のダイヤ事業に関する新たな方針を受け、6カ所の鉱山が既に閉山となった。ダイヤ採掘事業に絡んで政府に入る収入も減少していることを意味している。
ジンバブエで長期の強権統治を進めるムガベ大統領は白人の農地の強制収用、黒人への分配などの過激な政策を導入したが、同国経済は好転せず苦境が依然続いている。