オリーブオイル関連団体の「国際オリーブ協会(IOC)」は10日までに、オリーブオイルの世界全体の生産量が昨年、約3分の1激減したと報告した。
欧州の主要生産地での干ばつや伝染病が原因で、価格は昨年20%増の急上昇を示した。今年も同様の値上がりが予想されている。
世界の生産量の約4割を占めるスペインでは2014年、異常な暑さと乾燥気候を伴う夏季に襲われ、過去20年間では最悪の収穫量に終わった。輸出分を手当てするため備蓄分の取り崩しを強いられていた。
15~16年シーズンも同様の夏季に見舞われ、収穫量は停滞している。昨年7月には高温の日が3週間続き、オリーブの早過ぎる成熟をもたらす結果となっていた。IOCによると、同国の今年の生産量は約120万トンと予想。昨年の大きな不振からは改善したが、同国の通常の生産量180万トンには到底届いていない。
世界の生産量の約2割を占めるイタリアでは数百万のオリーブの木が細菌の伝染病に襲われる被害が出た。病気の拡大を防ぐため欧州連合(EU)当局は被害が甚大な伊南部で広範な木の伐採を求めたが、病気蔓延(まんえん)に関する不正確な情報などを理由に一部ではこれを拒否する動きも出ていた。樹齢500年以上の木を守ろうとする思惑も絡んでいた。
IOCによると、生産量減少を受け世界規模での消費量も昨年は7%の減少となった。
オリーブオイルは地中海料理に欠かせない材料だが、近年は健康への好影響が評価され世界規模で人気が高まっていた。イタリアのオリーブオイル生産業者団体によると、世界全体での消費量は過去25年間でほぼ倍増し、米国だけでも250%増となった。
欧州の主要産地での不作が目立つ中で、生産が好調な国もある。北アフリカのチュニジアは14〜15年シーズンで過去最高の収穫量を示し、スペインに次いで世界2位になったという。